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軍事・ヤンデレ・ギャルゲ・音楽・小説などを勝手に
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hiyori.jpg「砲艦って何ですか? センパイ」
konata.jpg「初心者軍オタにとっては駆逐艦より下は『その他』だからねー」
miyuki.jpg「砲艦というのは当時中国に権益を持っていた列強国が自国の権益を保護するための河川用戦闘艇のことです。」
「川? 川に軍艦が必要なの?
kagami.jpg「つかさ、川っていっても中国のだと長江や黄河のことよ」
miyuki.jpg「そのとおりです。河川とはいえど、それなりに大きい船が必要でした。また、外交館としての役割も持っていたため排水量の割には武装は多くなく代わりに通信設備や指揮能力を重視したようです」
konata.jpg「外交館としての役割もあるから日本の砲艦は菊の紋章がついたれっきとした『軍艦』だったんだよ。(駆逐艦やその他の雑艦は菊の紋章が付いていない『艦艇』)……とはいっても、今回やる『橋立』はそういう役割の砲艦じゃなかったんだけどね」
「もともと砲艦というのは植民地警備・通称保護用の低速小型の巡洋艦が河川に入れるほど喫水(船の水に浸かる深さ)を浅くさせていったもの。でも、それとは別に従来の低速小型巡洋艦もあった」
konata.jpg「『橋立』はこの低速小型巡洋艦に近い艦だったってわけさ」
「ふーん……」
「もっとも、橋立は河川に入ることも考えてないわけじゃない。低い喫水がその証拠。でもそれは主の任務じゃない」
hiyori.jpg「でも、通称保護艦なら海防艦があるんじゃないんっスか?」
konata.jpg「そうだね。戦時中は海防艦だけじゃなく、掃海艇や水雷艇なんかも海上護衛に投入されたんだけど、砲艦もその例には漏れなかった。でも砲艦『橋立』の投入は当初から予定されていたことだったんだ」
kagami.jpg「へえ……」
miyuki.jpg「海軍では③計画と呼ばれる計画で海防艦4隻と砲艦甲、つまり橋立型が2隻、砲艦乙、伏見型が2隻建造されました。ですが、戦史叢書によると③計画以前にも海軍は通称護衛の研究を行っていました。ですが、その数が膨大なものになったため予算上不可能とされました。そしてここに注目なのですが、この時点で1500tないし500t級砲艦15隻が研究内で算定されているのです。そして橋立型砲艦の排水量はこの中間あたりです。」
「つまり、最初から通称護衛用の艦として計画されてたってことなんだね」
konata.jpg「そうだよ。実際、最初から河川用砲艦として建造された伏見型砲艦なんかは橋立型砲艦よりもっと小さくて低性能なんだよ」

fushimi_1945.png
伏見型砲艦
基準排水量:304t
公試排水量:350t
全長:50.3m
全幅:9.80m
吃水:1.20m (公試平均)
出力:2200hp
速力:17.0kt
航続力:1,400浬/14.0kt
燃料:重油54t
兵装:7.6cm単装高角砲1門、25mm連装機銃1基

hiyori.jpg「質問があります」
konata.jpg「はい、ひよりん」
hiyori.jpg「それじゃ、どうして海防艦があんなに作られたのに橋立型砲艦は二隻しか建造されなかったんですか?」
konata.jpg「うん、いい質問だ。アメをあげよう」
hiyori.jpg「うわーい」
kagami.jpg「ノリいいな、あんた!」
konata.jpg「まず、この地図を見てもらおう」
e7da10e9.JPG
「これは?」
「日本の周辺図……? でも赤いのと緑のは……?」
konata.jpg「国名が入ってるのはご愛嬌だよ。赤いルートが戦前策定されていた護衛ルート、緑のルートが戦争直前に策定された護衛ルート。見れば判るけど緑のルートのほうが長いよね? ここで橋立型砲艦と占守型海防艦のスペックを比較してみようか」

hashidate_1940.png
橋立型砲艦
基準排水量:993t
公試排水量:1110t
全長:80.5m
全幅:9.7m
吃水:2.45m (公試平均)
出力:4600馬力
速力:19.5ノット
航続力:2500浬/14ノット
燃料:重油170t
兵装:12cm連装高角砲1基、同単装砲1門計3門、25mm連装機銃2基、7.7mm機銃2挺

shimushu_1940.png
占守型 海防艦
公試排水量:1020t
全長:72.5m
全幅:9.1m
吃水:3.05m
出力:4200馬力
速力:19.7ノット
航続力:8000浬/16ノット
燃料:重油220t
武装:12cm単装砲3基、25mm連装機銃2基、爆雷18個

konata.jpg「両者を比較して明らかに違うところが一つあるでしょ?」
kagami.jpg「……航続距離?」
konata.jpg「そのとおり。橋立型には変遷した護衛ルートをたどるには航続距離が短すぎたんだよ。従来の護衛ルートで換算していたからね。一方の海防艦は橋立型の三倍強の航続力がある。航海で行くことが可能な距離は航続力の三分の一って話はまえしたとおもうけど、占守型だと橋立の航続距離がそのまま行動半径になってしまうんだ」
「平時の警備にも戦時の通称護衛にも使える汎用艦というコンセプトはけして間違っていなかった。惜しむらくは戦略環境が変化したこと。橋立型砲艦は軍備と戦略環境の合致が難しいことを示している
konata.jpg「橋立にしたところで従来の砲艦より航続距離は長いんだけどね。戦略環境が広大になってしまった分海防艦のほうが任務にむいていることになってしまったのさ」
miyuki.jpg「橋立は昭和十九年潜水艦の雷撃により沈没、同型艦の宇治は戦後まで生き残り中国共産党政権によって再利用されました」
「次回はリクエストがあったので、ノルマンディ上陸作戦についてか、フォークランド戦争についてやる予定です、とのこと」

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konata.jpg「お久しぶり(CV.広橋諒)」
kagami.jpg「いや、そのネタ前もやったし
「ホントに久しぶりだねー」
konata.jpg「無駄に更新頻度増やして長いの書けなかったり、実家に帰ったり、パソの調子が悪かったりしたからね」

konata.jpg「さて、第二次世界大戦にいたるまでに戦闘艦艇という意味の軍艦ではそれまでに比べて明らかに異常な艦が発達してたんだ」
「空母?」
konata.jpg「うん、もちろんそれもだね。でも、もう一種類あるよ」
「それはなに?」
konata.jpg「普通の船が水上を行くのに対して、海に潜り静かに……」
田村ひより「あぁ、潜水艦っすね」
konata.jpg「…………いや、いいけどね。というわけで今日は潜水艦の発達史についてやるよ」

konata.jpg「潜水艦の歴史ってのは意外と古くてね、17世紀にオランダ人のファン・ドレベルが作った手漕ぎ木製のものが水面下すれすれを航行したのが最初」
kagami.jpg「17世紀というと大体400年ぐらい前ね」
konata.jpg「軍用のものといえば1771年にアメリカの学生ブッシュネルが設計、1776年に建造された一人乗りの潜水艇タートル号だね。この潜水艇は今とは似ても似てかぬかたちだったんだ」
0844102.jpgfaq39d09b.jpg
「丸いね」
「これでどうやって攻撃するの?」
konata.jpg「錐があるでしょ。これで艦の底に穴を開けて、防水式時限爆弾を艦底に錐ごとねじ込むっていう攻撃方法だったんだ。独立戦争で英艦「セルベラス」に被害を当てるなどの活躍をしてるよ」
miyuki.jpg「あと有名なのといえば南北戦争の南軍のハンレー号ですね。この艦は敵艦を撃沈した初めての潜水艦となりました」
「このハンレー号は映画にもなっている」
konata.jpg「この時期の潜水艦といえば外装水雷だね。第三回で説明したよね」
「うん、舳先に爆弾を取り付けて体当たりするんだよね」
konata.jpg「そう。で、初期の潜水艇はもちろん人力だったんだけど、これに内燃機関を付ける試みが始まるんだ」
miyuki.jpg「そして、1900年にアメリカで世界初の内燃機関搭載潜水艇『ホランド』が竣工されます」
konata.jpg「このホランドは画期的でね、近代潜水艦の祖となったんだ」
「へえ……」
miyuki.jpg「ちなみに、日露戦争の際に沈んだ戦艦の代替として日本もホランド艇を購入しています」
「潜水艦史としては有名な六号潜水艇の悲劇なんかも起こったけど、それはまた別の機会に」
miyuki.jpg「その後第一次世界大戦にも投入された潜水艦は徐々に技術的進歩をしていきました。大戦後期の潜水艦には排水量が1000tを越すものもあったほどです」
kagami.jpg「潜水艦に対する対策は?」
konata.jpg「そっちのほうも進歩してるよ。ただ、潜水艦ほどは発達しなかったみたいだね」
miyuki.jpg「潜水艦に対抗する兵器としては爆雷があります。これはドラム缶の形をした水雷で水上艦から投下されると重力にしたがって沈降していき、ある一定深度に達すると水圧や時間によって爆発して潜水艦にダメージを与えます」
konata.jpg「初期はソナー……水中の音を拾って潜水艦の位置を探知する装置の精度が低くて余り戦果は上げられなかったんだ」
「ちなみに、数少ない戦果の中には戦艦ドレッドノートが体当たりをして沈めたという風変わりなものもある」
konata.jpg「一次大戦では対戦があまり上手くいっていなかったこともあって潜水艦を大量運用していたドイツなんかはイギリスを餓死寸前まで追い込んだりもしたんだ」
「どうやって?」
konata.jpg「通称破壊戦、っていってね。軍艦を狙わないで商船を狙うんだ。イギリスみたいな島国は自給自足が出来なくって輸入に頼るから特に効果が出やすいね」
「大変そうだね……」
kagami.jpg「てか、エグいわね」
「潜水艦は出来た当初はアンフェアで悪魔的な兵器と呼ばれてた」
konata.jpg「潜水艦が発展していく過程では珍兵器とでも呼べるものが出来たんだ。たとえばイギリスのM級潜水艦だね」
「どんな潜水艦だったの?」
konata.jpg「M級潜水艦は海中戦艦あるいは潜水砲艦とでも呼べるもので千五百トンたらずの船体に当時の戦艦に匹敵する大砲を積んだ兵器だったんだ」
「構想自体は兵器が建造される前からあった。SF作家のHGウェルズや推理作家のコナンドイルなども同様の小説を書いている」
「強そうだけど、どうして珍兵器なの?」
konata.jpg「潜水艦の一番の利点っていうのはその隠密性、秘匿性にあるんだ。つまり的に発見されずらいってこと。大砲ていうのはその構造上水中では撃てないから水上に浮上するしかないんだけどそれだと潜水艦の一番の利点である隠密性が生かせない」
「つまり、兵器と兵器に搭載した兵器がムジュンしてるってこと?」
「そのとおり」
konata.jpg「それにね、潜水艦から大砲を撃つのって難しいんだよ。水上艦艇と違ってマトモな射撃装置がないから命中精度が水上艦艇に比べて格段に落ちるし、被害を受ければ潜れなくなるから無防御にも等しいんだ。大砲がいくらおおきくてもそれは一緒。小口径の砲を積んだ駆逐艦にさえ負けるだろうね」
kagami.jpg「構想と現実は食い違うもなのね……」
「その後第二次世界大戦になるにつれ、潜水艦も対潜兵器も技術が上がっていく。いかにその例を挙げる」

①シュノーケル
konata.jpg「潜水艦とはいっても、当時の技術では可潜艦、潜るのが可能ってほどのものだったんだ。実際当時の潜水艦は水中速力より水上速力のほうが大きかったんだよ。水上に出てる時間のほうが長いからね」
「どうして?」
konata.jpg「よく考えてみてよ。人間が潜水していたとして何分持つ?」
kagami.jpg「一分かそこら……まぁ、息が続く人がいても10分持たないわね」
konata.jpg「潜水艦ってのは潜りっぱなしなんだよ。つまり、空気の補充が出来ない。人間が息する分ももちろんなんだけど、エンジンだって新鮮な空気を必要とするんだよ」
kagami.jpg「エンジンって内燃機関って意味だしね」
konata.jpg「だから、潜水艦はエンジンの変わりに水中では電池を使うんだ」
「でも電池はエンジンよりも効率が悪い」
「なるほど……」
konata.jpg「その問題を解決したのがシュノーケルなんだ。シュノーケルは水上から空気を取り入れて潜水艦の中の空気を換気する装置なんだけど、これによって水中でもエンジンが使える、つまり高速発揮が可能になったんだ」
miyuki.jpg「それだけではありません。水上に出る必要がないということはすなわち敵に見つかる可能性も低くなります。実際ドイツ軍のU1199などは31日間潜行し続けたりしました」
konata.jpg「でも、敵に見つからない代わりに敵を見つけることも困難になったんだ。これは当時の敵の発見率は非常に少なかったことを意味している」

②爆雷投射機
konata.jpg「それまで爆雷は落とすだけの兵器だったんだけど、爆雷投射機は少量の火薬を用いてある程度遠くに爆雷を投下することが出来るようになったんだ」
「離れたところにいる潜水艦を攻撃できるようになったんだね」
konata.jpg「そうだね。それに加えて、第二次世界大戦の中盤には前方に爆雷を投射できるヘッジホッグや対潜臼砲などが発明されたんだ」
miyuki.jpg「これによって、より広い範囲の潜水艦を狩ることが出来るようになりました」
「爆雷はやがてより高性能な対潜ロケットやホーミング魚雷に変わっていった」

③ヴァルター機関
「これは、1940年代にドイツで出来た機関で、燃料に過酸化水素を用いるもの」
「過酸化水素?」
konata.jpg「過酸化水素は分解するときに熱と酸素が発生するんだ。これを利用して機関をまわすというものさ」
kagami.jpg「過酸化水素って危険物じゃないの? 狭い艦内で扱って大丈夫なの?」
konata.jpg「大丈夫じゃなかったからこのシステムはすぐに廃れちゃったんだ。それ以外にも燃料が高価だったり、排気が大変だったり問題点が多かったしね。」
kagami.jpg「ふーん……」
konata.jpg「でも、水中での高速性能が出せるってのは大きかったんだ」

④原子力潜水艦
konata.jpg「これが出来たのは戦後だね。原子炉ならシュノーケルもなしで機関をまわすことが出来る。つまりずっと潜ったばかりでいられる」
「これによって潜水艦は真の意味で潜水艦になったといえる」
konata.jpg「なにしろ、燃料の核燃料棒の交換は数年~十数年に一度でいい上に、燃やさないから酸素も必要ない。通常潜水艦だと電池を充電するために浮上しなくちゃいけないけどそれすらない」
「凄いんだね……」
konata.jpg「また、それまでだと潜水時の速力よりも浮上時の速力のほうが長いから大事にされてたんだけど、原子力潜水艦は潜水時の速力が優先されるようになったんだ。ロシアのアルファ型原潜だと最高速力は40ノットを超えるといわれているよ」
kagami.jpg「洒落にならない兵器じゃない」
konata.jpg「欠点もあるんだよ。原子力潜水艦ってのは静粛性に通常潜水艦に比べて劣るんだ。これは特にソナーの発達した現代としてはキツイよ」
kagami.jpg「戦略原潜とかいうのはどんなものなの?」
konata.jpg「戦略原潜ってのは核ミサイルが関わってくるんだ。普通は核ミサイルは敵の発射位置がわかってれば対処のしようがあるんだけど、潜水艦から発射することによってどこから撃ったのか判らなくなるんだ。つまり、対処が難しくなる。それには発見されずらい潜水艦、とくに航続距離が長い原子力潜水艦が一番ってわけだよ」
「なるほど……」

konata.jpg「潜水艦について面白いのは非常に制約が大きくて弱点も多いのに現在では主力の一端になってるという事実だね」
田村ひより「それは空母もじゃないんスか?」
konata.jpg「空母は弱点ってのは潜水艦に比べると少ないんだよ。空母は運用する際に空母単体で運用することってのは無いからね。それに対して潜水艦はほぼ単一運用なんだ」
「単一運用だから長所が大いに発揮できる代わりに短所もそのまま出るってこと?」
konata.jpg「そ。なんにせよ、面白い兵器だよ」

 

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miyuki.jpg「今日は、前回やった、航空主兵主義としての空母についての補足をやりますね」
「戦艦が滅んだのは空母の出現で相対的に弱くなったから、じゃなくて使い勝手が悪いことが判明したからだったよね」
konata.jpg「そうだよ。それをもっと深めてみようってことさ」

konata.jpg「さて、空母が誕生した原因はなんだったっけ?」
kagami.jpg「偵察……だったわよね?」
konata.jpg「そう、そのとおり。空母にまず求められたのは偵察力、つまり常に相手を先手とることが出来る能力だったんだよ」
「ふーん……」
konata.jpg「そして、WW2・太平洋戦争で判明した……いや、違うね。それ以前から理論としては成り立っていたけど実証されたのはその攻撃力の高さだったのさ」
「でも、戦艦の撃沈は撃沈以外ほとんど考えられない状況だったんじゃないの?」
konata.jpg「逆に言えば、戦艦以外は充分に撃沈の対象内だったし、条件さえ揃えば戦艦でも撃沈・撃破が可能だったってだよ」
miyuki.jpg「洋上(作戦行動中)に限定しないなら、泊地攻撃で真珠湾やタラント空襲という例もありますしね」
「そして、空母に与えられた三つ目の能力……それが防御力」
「空母は卵を持った籠のようなもので、防御力は脆弱だったんじゃないの?」
konata.jpg「空母自体の防御力じゃないよ。前回言ったけど、洋上航行中の戦艦で制空権を持った状態で撃沈された戦艦はないんだよ。つまり、制空権を得る=相手に攻撃されることを防ぐって意味での防御力さ」
「なるほど……」
konata.jpg「ここで、各国海軍の空母に求めた役割を整理しようか」
「まず、イギリス海軍。イギリスは攻撃手段を魚雷に求め、しかも高性能の魚雷の開発に成功した。ここからイギリスは空母に槍としての手段、つまり攻撃力を求める」
miyuki.jpg「ところが、イギリスはその攻撃力である魚雷を運ぶ手段としての艦載機の開発に失敗します。艦載攻撃機だけではありませんよ。攻撃機を守る手段である長距離制空戦闘機の開発にも失敗したんです。つまり、イギリスは攻撃手段としての手段をあきらめざるを得なくなりました」
田村ひより「まぁ、ソードフィッシュとかじゃ……」
konata.jpg「一方、イギリスに師事していた日本海軍は高性能の艦載機の開発に成功し、結果として槍として攻撃能力は増大したんだ」
「けど、その分『目』としての能力……偵察力は減少した。太平洋戦争で偵察を担ったのは空母の艦載機ではなく水上機だった」
konata.jpg「じゃあ、日本の空母艦隊の行方を見ようか」
miyuki.jpg「空母をもっとも『槍』として活用したのは日本でした。それは『航空艦隊』という独自のシステムを持っていたことからも明らかです」(8/2追記)
「航空艦隊?」
「空母だけを集中して運用して、他の艦船を空母を守るために配備する方式のこと」
konata.jpg「『大日本帝国海軍、実は彼らが組織的に空母を運用できる形にしたのは1944年でそれまでは艦砲主体の運用だったていう人がいたんだけど、それはあたし逆だと思う」
kagami.jpg「逆?」
konata.jpg「確かに第三艦隊として編成される1942年までは第一航空艦隊は臨時編成っていう形だったけど、それまでは『航空艦隊』っていう普通の艦隊とはべっこに置かれていたわけだよ。つまり『航空』の頭文字を冠することで従来のように艦砲主体ではないということを示しているんじゃないかと思うんだ」
miyuki.jpg「ミッドウェー海戦や真珠湾攻撃で空母部隊に付随している戦艦は第三戦隊からの借り物です。この時点で『艦砲主体の運用』じゃないですよね」
konata.jpg「うん。つまりさ、『空母に戦艦がに付随した』からこういう形になったんだと思うんだよ。もし、第三戦隊丸々第一航空艦隊に含めていたらそれは従来どおり『戦艦に空母が付随した』ってことになるんじゃないかと思うんだよ」
「????」
konata.jpg「えーっとつまりね、こういうことだよ。第三戦隊は戦艦だけの艦隊、第一航空艦隊は空母中心の艦隊。第三戦隊の戦艦四隻が第一航空艦隊にいたら、それは第三戦隊に第一航空艦隊にいることと代わりがないんじゃないんだろうか、ってこと」
「あぁ、そっかー!」
konata.jpg「丸ごと貸さなかったのは、ある意味日本が槍としての手段を空母中心に移行する決意の現れだったんじゃないかと思うんだよ」
「もったいないね」
konata.jpg「まぁ、縄張り争いって点も否定は出来ないけどね」
「また、さっきも言ったとおり、日本海軍は航空母艦を『目』として活かせなかった。索敵は空母の艦載機じゃなく、ほとんどが巡洋艦搭載の水上機に頼っていた」(8/3追記)
konata.jpg「空母の高い能力はその迅速さにも由来するんだ。高速で縦横無尽に駆けて『目』を活かし、迅速に航空機を出して敵から攻撃される前に回収する。そして、どこからともなく攻撃する」
「そのほかの艦じゃソレは出来ない?」
konata.jpg「巡洋艦搭載の水上機だとこの迅速さという能力にかけるんだよ。なにせ、巡洋艦は航空機を運用する艦じゃないしね。水上機というのも迅速に対応するようには出来ていない」
kagami.jpg「日本は攻撃一辺倒にしちゃったせいで失敗したのね」(追記ここまで)
miyuki.jpg「さて、アメリカです。アメリカは日本、イギリスと違い艦載機の攻撃手段としての第一を急降下爆撃機に求めました。しかし、この時代の急降下爆撃は効果が低く、戦艦の甲板を貫くことが出来ませんでした」
kagami.jpg「あららら」
konata.jpg「つまり、アメリカは空母を『槍』として使うのをこの時点で諦めたんだ。そして空母を『盾』あるいは『目』として運用することに力を注ぐ」
kagami.jpg「それで正解だったの?」
konata.jpg「戦争になったときにアメリカは『槍』としても運用した。でも、これは『盾』『目』としての運用が第一にあって『槍』としての運用は飽くまで補助的なものだったんだ。でもそれで正解だった」
「どうして?」
konata.jpg「空母の運用の要は『柔軟な運用』にあるからだよ。『槍』一本じゃいけないんだ。つまり、他の運用目的を考えていたアメリカが結局は一番有利だったってことだね」
miyuki.jpg「だからこそ、現在のアメリカ海軍は強いんです。兵器は柔軟な運用をした国が強くなる、そういうことですね」
konata.jpg「誤解はして欲しくないんだけど、アメリカは真珠湾攻撃直後、すぐに空母中心の艦隊運用をしたわけじゃないんだよ」
田村ひより「そうなんスか!?」
konata.jpg「アメリカの運用は飽くまで戦艦中心……真珠湾で戦艦を失ったアメリカはその役割を空母に求めたわけじゃなくて、副次的なものを大きく運用したんだよ。それが結果的に『空母中心』に見えてしまっただけ」
田村ひより「ははあ……」
konata.jpg「どっちにしろ、戦力の柔軟な運用こそ戦争の要ってコトだね」

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モアイ部さま
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konata.jpg「さーて、いよいよWW2に入るよー」
田村ひより「航空主兵主義の確立っスね!」
konata.jpg「そのとーり」
「航空主兵主義?」
「航空優兵主義とも言う」
miyuki.jpg「戦艦主砲による決戦が戦争の帰結を決める、という考え方が従来の大艦巨砲主義、これに対して、戦艦の主砲の代わりを航空機に求めるのが航空主兵主義です」
kagami.jpg「タラント空襲、真珠湾やマレー沖海戦で大艦巨砲主義が否定されて航空主兵主義が確立したのよね」
konata.jpg「うーん、それはよく言われてるけど、あたしは違うと思うなー」
田村ひより「へ?」
「もちろん、『真珠湾で航空主兵主義を確立したにもかかわらず、日本は大艦巨砲主義に固執して……』なんてのは議論の対象外。日本ほど空母の建造に熱心だった国はないし、どの国でも当時は大艦巨砲主義がアタリマエだった」
「そ、そうなんだ……」
konata.jpg「タラント空襲や真珠湾攻撃やマレー沖海戦で航空機が最新鋭の戦艦と言えども撃沈しうることがわかった=航空機が戦艦の代わりになったというのは些か単純すぎるよ」
miyuki.jpg「そうですねー」
「それじゃあ……?」
konata.jpg「これらの結果でわかったのは『航空機が戦艦を沈めることが可能』というその一点だけなんだよ。そしてその結果戦艦が『一番強い兵器』じゃなくなってしまった。こっちのほうが重要だね」
kagami.jpg「つまり、戦艦の戦略的価値が下落した?」
miyuki.jpg「そう、そのとおりです。でもこれによっては航空機の戦略的価値は『一番強い兵器』としては上昇しませんでした。機銃の弾で炎上する代物が『一番強い兵器』にはならないからね。少なくとも一番強い兵器そのものが不在になってしまったのは確かです」
konata.jpg「誤解を与えるかもしれないけど、この時点で戦艦は海上兵器の中では間違いなく最強だよ。でもその強さは相対的な強さであって、それまでの絶対的な強さというものを失ってしまったんだ」
「じゃあ、WW2はどうなったの?」
konata.jpg「WW2はWW1と違って、戦艦という戦略兵器が不在のまま進んでしまったんだ。それは、各国の海軍首脳部に「もしかしたら戦艦が戦略兵器としてまだ存在しうるかもしれない」という淡い願望のようなものがあったために温存してしまった、ってこともあるんだけどね」
「じゃあ、航空主兵主義っていうのは?」
「航空主兵主義にしろ、大艦巨砲主義にしろ、間違えていたのは『一度の決戦で戦争そのものが決まる』というところ。両軍の主力空母が出払ったミッドウェー海戦にしろ、マリアナ沖海戦にしろそれで戦争そのものが決定するようなことはなかった」
「つまり、航空主兵主義にしろ、大艦巨砲主義にしろ、その大元の『決戦志向』が間違って立ってコト?」
miyuki.jpg「そういうことですね」
konata.jpg「もっというなら、よく言われる『空母は戦艦より強い』はハッキリ言って間違いだってもいいんだよ」
田村ひより「ええ! どうしてっスか?」
konata.jpg「洋上航行中(作戦行動中)に航空機の攻撃『のみ』によって沈没した戦艦は世界に五例しかないんだ。『ローマ』、『プリンス・オブ・ウェールズ』と『レパルス』、そして『武蔵』『大和』しかね」
「五例もあれば十分じゃないの?」
miyuki.jpg「世界に五十隻以上も戦艦があったのに、ですか?」
kagami.jpg「10%以下か……ん~……微妙なトコね」
konata.jpg「それに、『ローマ』が撃沈されたのは降伏して、ほとんど無抵抗状態での誘導弾の直撃。『POW』と『レパルス』は撃沈されたマレー沖海戦は陸上攻撃機85機で、しかも命中率9割越えなんて異常さ、『武蔵』は延べ120機以上から魚雷20本以上、爆弾30発以上という軍艦史上最大の被害、『大和』にいたっては400機以上から攻撃を受けたんだよ?」
kagami.jpg「うっわー……」
「つまり、どうやっても沈んでた……ってこと?」
konata.jpg「そう。オマケにこの五例のいずれもが『十分な制空権がない状態』で攻撃をうけたんだ。つまり航空機に対する防御が不十分な状態だったってことさ」
kagami.jpg「じゃあ、普通にやれば……?」
konata.jpg「上空援護の戦闘機に食われて、運よく命中してもそれが何本も続くわけじゃなく(航空攻撃の命中率は普通は5~20%程度)300機、400機で攻撃してやっと沈められるかどうか、ってところだろうね。当然それだけ多くの航空機を繰り出せる例は太平洋戦争末期のアメリカ軍ぐらいしか私は知らないよ。つまり、どこも無理だってことだね」
田村ひより「うわぁ……」

kagami.jpg「じゃあ、どうして戦艦が滅んだの? 戦略価値がなくなっても戦艦の強さ自体は変わらなかったんでしょ?」
miyuki.jpg「その戦略的価値がなくなったというのが一番大きな理由ですね。そもそも戦艦というのはコストパフォーマンスがものすごく悪い艦なんです。攻撃力も防御力も高いけれど、使い勝手が悪く、戦略的価値があるから沈めることが怖くて前線にもホイホイ出せず、そのわりに燃料ばかりバカ食いして維持費もかかる……それでも戦艦に価値があったのは戦略的価値という一転においてだったんです」
「航空機(空母)は洋上からでも500km先の陸の奥地に爆弾を送ることが出来る。これが戦艦だと精々海岸線から40kmを焼くのが精一杯」
konata.jpg「つまりね、戦艦が滅びて空母が生き残った理由はその使い勝手ゆえ何だよ。使い勝手がいいから空母は生き残り、使い勝手が悪いから戦艦は滅びた……そこに強弱の概念はないのさ」
「意外だね……」
田村ひより「意外っス……」
konata.jpg「ま、空母の攻撃力が大きかったのは確かだけどね。それは戦艦の滅びた直接の理由ではないかな。間接的な理由ではあっても、ね」
miyuki.jpg「というわけで、今回は終わります。次回は戦後についてですよ」
「もしくは、今回の授業についてもう少し掘り下げるつもり」
konata.jpg「それではまた今度~」

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モアイ部さま
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konata.jpgこれが、逆境だ!
田村ひより男の魂、充電完了!
逆境ナイン?」
kagami.jpg「なんで今更……」
konata.jpg「いや、本屋で衝動買いしちゃってね。やっぱいいね、島本和彦」
miyuki.jpg「というわけで、今回は逆境に見舞われた戦艦です」
kagami.jpg「うまいことつなげた!?」

konata.jpg「さーて、今日は『萌えよ! 軍艦学校 番外編~漢たちのキング・ジョージⅤ世~』と題して、イギリスの戦艦、キング・ジョージⅤ世級についてやるよー。あと、いちいち言うのが面倒だから以下KGⅤって略すからねー」
miyuki.jpg車掌さん、リクエストありがとうございました」
「あと、勝手にタイトル借りてます。すいません」


KGⅤ級戦艦
基準:38030t
満載:42237t
全長:227.1m
全幅:34.2m
吃水:8,8m
出力:110000馬力
速力:27.05ノット
航続力:7000海里/10ノット
兵装:45口径35.6cm4連装砲2基、同連装砲1基計10門、13.3cm連装両用砲8基16門、2ポンド8連装ポムポム砲4基32門、17.8cm20連装ロケット砲(UP砲)4基80門
装甲:舷側374mm、甲板152mm、、司令塔100mm、主砲塔324mm(前盾)バーベット324mm
艦載機 3機(最大)、2機(常用)+カタパルト1基
同型艦:KGⅤ、プリンス・オブ・ウェールズ、デューク・オブ・ヨーク、アンソン、ハウ

田村ひより「イギリスの条約型戦艦っスね」
konata.jpg「KGⅤの特徴といえば特殊な艦型かな?」
kagami.jpg「前部に4連装砲1基、連装砲1基、後部に4連装砲1基だっけ」
「確かに特殊だね……」
「異なる主砲塔を搭載した戦艦は他にはイタリアのカイオ・デュイリオ級、コンテ・ディ・カブール級しか存在しない」
「どうして、こんな特殊になったの?」
konata.jpg「設計段階では14インチ砲4連装3基12門だったんだよ。弾の投射量だけなら、これで充分なんだ」
「じゃあ、どうして?」
konata.jpg「設計途中で弾薬庫の防御不足が発覚してね。おおわらわで第二砲塔を連装砲塔にして浮いた重量で防御を強化したんだよ」
miyuki.jpg「主砲口径は14インチ(=35.6cm)。同世代の他国の戦艦よりも小型です」

各国戦艦比較

艦名 主砲 排水量 竣工年
大和 46cm砲×9 68000t 41年12月
アイオワ 40.6cm砲×9 45000t 43年8月
ヴィットリオ・ヴェネト 38.1cm砲×9 43600t 40年5月
リシュリュー 38cm砲×8 35000t 40年7月
ビスマルク 38.1cm砲×8 41700t 40年8月
KGⅤ 35.6cm砲×10 36700t 40年12月
金剛 35.6cm砲×8 32000t 13年8月

miyuki.jpg「ちなみに、金剛は比較用です」
kagami.jpg「大和が46cm砲、アメリカのサウスダコタ、アイオワが40cm砲、ビスマルクですら38cm砲を採用していることを考えると……」
「船体のサイズも主砲口径サイズが小さいね」
田村ひより「つまり、弱い?」
konata.jpg「単純には決められないけどね」
「主砲の威力は弾頭重量、発射速度、初速、徹甲弾投射量に関係する。それを図にしたのが以下」

  弾頭重量 初速 発射速度 投射量(10分間)
大和 1460kg 780m/s 1.8発/分 236.52t
アイオワ 1225kg 762m/s 2発/分 220.5t
ヴェネト 885kg 850m/s 1.5発/分 119.48t
リシュリュー 884kg 830m/s 2.2発/分 155.58t
ビスマルク 800kg 830m/s 2.3発/分 147.2t
KGⅤ 721kg 732m/s 2発/分 144.2t
金剛 673kg 770m/s 2発/分 107.68t

konata.jpg「これ見ればわかると思うけど、KGⅤは一発あたりの弾頭重量が小さく、砲門数でかせいではいるけど他国に比べて投射量が多いとはいえない」
「つまり、他国の戦艦より威力が落ちる?」
konata.jpg「そうだね。それどころか、イギリスの40cm砲搭載戦艦にすら劣るかもしれない」
kagami.jpg「戦艦ってのはその国で一番強い艦でしょ。どうしてこんな艦作ったのよ?」
miyuki.jpg「それはロンドン条約が関係しているんです」
「ロンドン条約……」
konata.jpg「正確には第二次ロンドン海軍軍縮条約だね」
「第二次?」
konata.jpg「そ。さすがに、各国旧式の戦艦を改装したりはしてたんだけど、そろそろ代艦を作らないと厳しくなってね。1933年に検討されたのがこの条約さ。この条約では①主砲は36cmまで、排水量は35000tまで、②ただしロンドン条約加盟国のうち脱退国が出た場合主砲は40cmまで排水量制限は45000tまで(エスカレーター条項)、という枷があったんだよ」
kagami.jpg「つまり、その条約に則った艦?」
konata.jpg「そだよ。結局は日本が脱退したことによってこの条約は①が無効になるんだけど、慌てて作ったから条約に則らざるを得なかったんだ」
kagami.jpg「つまり、間にあわなかったってこと?」
konata.jpg「そうだね。そして間に合わなかった理由はドイツがビスマルクを作ったからなんだ」
「KGⅤの仮想敵はビスマルクなの?」
miyuki.jpg「そういうことになりますね」
「さっきの表で、KGⅤを12門で比較すれば投射量は173.94t……」
konata.jpg「太平洋方面の化け物には及ばないまでも、欧州方面なら間違いなく最強の戦艦として誕生するはずだったんだ。つまり、『一番強い感』という定義から外れてるわけじゃないんだよ」
miyuki.jpg「砲を40.6cm砲に換装する計画もありましたしね。そのままならば、少なくとも、弱い戦艦にはならなかったはずですよ」
konata.jpg「この辺誤解されがちだけどね」

konata.jpg「さて、艦自体を見ていこうか。イギリスは伝統的に水中防御が欠けている。つまり、魚雷や水中弾(水中に落下してなお弾)に対して弱い」
miyuki.jpg「しかし、それを除けば35000t級の戦艦としては重防御です。アイオワの舷側装甲が329mm、甲板防御が153mmに対して、KGⅤの舷側装甲は374mm、甲板防御が152mmと甲板防御でほぼ同等、舷側装甲で勝っています」
konata.jpg「あ、ビスマルクは舷側320mm、甲板110mmね」
「ちなみに、アイオワは45口径16インチ砲に対する対応防御がなされているから、単純に計算すればこれにも対抗できることになる」
「一万トンも重いアイオワと同じぐらい厚い装甲なんだね」
konata.jpg「まあ、アイオワや大和が傾斜装甲なのに対して、KGⅤはそうじゃないんだよ。傾斜装甲の分だけ同じ厚さのものよりも劣るんだ」
「傾斜装甲?」

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  |←→|    /←→/
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  垂直装甲  傾斜装甲 

「右が傾斜装甲。横幅を同じにするなら傾斜している方が薄く出来る。つまり同じ装甲厚なら傾斜装甲のほうが防御力としては上」
「それなら、どうして傾斜装甲にしなかったの?」
konata.jpg「傾斜装甲は船体の中が狭くなるんだ。つまり、船体に対する容積が減少する。それに設計や建造も難しくなって時間がかかるようになるしね」
田村ひより「つまりビスマルクに対する対抗艦を作るのに、早く作りたかったってことっスか?」
miyuki.jpg「そうですね」
konata.jpg「それでもその装甲は14インチ砲搭載艦としてはその装甲は充分過ぎるぐらいだね。15インチ砲に対する対応防御ぐらいはあるよ」
kagami.jpg「へぇー、すごいわね」
「防御力過剰じゃないの? その分を攻撃力に回そうとは思わなかったの? 16インチ砲は無理でも14インチ砲を15門、16門積むとか」
miyuki.jpg「主砲というのはあまり多すぎても意味はないんです。積みすぎると射撃統制で苦労しますし、苦労の割には命中率は12門以上ではあまり上がりません。それよりはより大口径の砲を積んで一発一発のダメージを増やしたほうがいいです。」
konata.jpg「それに、ビスマルクに対抗する艦だったっていったでしょ? 14インチ対応防御じゃ意味ないんだよ。是が非でも15インチ対応防御にしたかったのさ」
「でも、イギリスって他にも戦艦いっぱいもってんだよね?」
konata.jpg「あったけど、それらの戦艦は20~23ノットの低速戦艦がほとんどなんだ。もっとも高速なクイーン・エリザベス(QE)級でも25ノットしかない。対してビスマルクは29ノット。つまり、対応できる艦が存在しない。あるのは巡洋戦艦フッドだけだね」
「QEやフッドで対抗できないの?」
konata.jpg「対抗できないって事は無いけどね。でも、ドイツだって他にも戦艦は存在する。それが28cm砲搭載の非力な戦艦でもね。QEだと持ち込めて相打ち。フッドは実際に沈められている。その穴を埋めきれる艦がほしかったんだ。それ自体が弱体になったとしても、ね」
kagami.jpg「つまり、相打ちしてもいいから数が欲しかった?」
konata.jpg「そゆことー」

「そういえば、さっきの表、KGⅤは同じ口径砲の金剛よりも弾が重いね」
konata.jpg「そう、よく気がついたね。前回いったと思うけど、弾頭重量が重いと射程が短くなる代わりにエネルギーの損失が抑えられる。つまり中長距離での威力は上がるんだ」
miyuki.jpg「それに対してビスマルクは同口径の他国の戦艦より弾頭重量が軽いです。これで遠距離を狙うことができますが……」
konata.jpg「あくまで机上の空論、だね。いや、もちろんフッドみたいな例はあるんだけどね。弾頭重量が軽い、つまり、エネルギーの消耗も激しく遠距離で当たっても威力は出ない」
「フッドはまぐれ当たりに加えて、フッドが巡洋戦艦だったことも関係ある。普通はああもうまくはいかない」
「ほえー」
konata.jpg「一方の、KGⅤは最初から遠距離は捨ててるからね。近距離に突っ込んで弾をぶち込む。それでいいんだよ。KGⅤだけでも5隻もいるからね。そういう損害を省みない、ある意味贅沢な戦い方ができるんだ」
「装甲もそれにそったものに……ビスマルクの主砲を受けて戦場にたっていられるものになっている」
「すごいんだねー」
konata.jpg「ま、世の中思うとおりに行ったら苦労しないよね」
「え?」
kagami.jpg「と、いうことは……」
konata.jpg「前回いったでしょ。純粋な四連装砲は故障が多かったんだよ。技術的冒険だったからね。そして、KGⅤの主砲は純粋な4連装砲」
miyuki.jpg「そして、優秀でも35.6cm砲はあくまで35.6cm砲に過ぎません。35.6cm砲に40.6cm砲と同じ能力を持たせようというのは不可能です」
konata.jpg「結局は全ての問題は大砲なんだよ。確かに、KGⅤは優秀な船だし、装甲も厚い。でも装甲では敵は倒せない。戦艦の価値って言うのは大砲にあるんだ。そういう意味で、KGⅤは失敗作といっていいかもしれないね」
田村ひより「一番大事なものを見失わないのが大事なんスね……」
konata.jpg「そゆことだよ。もっとも、二番砲塔の防御の不備さえなければ、KGⅤも太平洋の化け物なみに生まれ変わったかもしれないけどね」
「一個狂っちゃったために全部がだめになっちゃったんだね……」
konata.jpg「何もかもを、ってわけにはいかないけど、一番大事なものを捨てると駄目になるよ。なんでもね。KGⅤの場合は徹頭徹尾主砲が問題だったってことさ」

konata.jpg「うーん、今回は若干難産だったかな」
kagami.jpg「個艦を題材にするとどうしても……ね。でも、これからもがんばる予定なんでしょ?」
konata.jpg「うん、それはね。やろうと思うよ」
miyuki.jpg「というわけで、リクエスト、お待ちしています」

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konata.jpg「いやー。いつの間にかHIT数が一万超えててビックリしたね」
kagami.jpg「ホントねー」
「11月からだからー……もう八ヶ月にもなるんだね」
miyuki.jpg「これも皆様のお陰です」
konata.jpg「いや、ホント」
「今後ともよろしくお願いします」

miyuki.jpg「さて、ワシントン・ロンドン条約で、日本は主力・補助艦艇の双方厳密に枠内が定義されることとなります」
「ワシントン条約で制限されてなかった排水量一万トン以内の空母『龍驤』はロンドン条約で無駄になったんだよね」
kagami.jpg「そしてロンドン条約枠内で整備された各々の艦も暴風雨で欠点が明らかになった、と……」
「でも、日本海軍としてはどうしても戦力が欲しかったんだ。そこで注目されたのがロンドン条約のこの部分」

・基準排水量1万トン以下、速力20ノット以下、備砲6.1インチ砲4門以下の艦と基準排水量600t以下の艦は無制限

「600t以内が無制限ってのはもうやったから……」
田村ひより「特務艦……ってとこッスね」
「ちなみに特務艦というのは潜水母艦や給油艦、工作艦といった、直接戦闘には関わらない艦艇のこと……」
konata.jpg「特務艦が無制限なことに気が付いた日本海軍はあらかじめく空母への改装が容易な特務艦を作って有事にはこれを空母にしようと決めたんだ」
miyuki.jpg「注意して欲しいのは、これの改装軽空母は後のアメリカ海軍の軽空母や、日本の伊吹、ドイツのヴェーザーなどと違い、最初から空母への改装を見越して作られた艦だということです」
「他艦種から改装して空母になったわけじゃなくて、予め空母になる予定で他艦種になっていた……ややこしいけど、そういうこと?」
miyuki.jpg「そうですね。これらの予め空母への改装を見越して作られた艦を『空母予備艦』といったりもします」
konata.jpg「空母予備艦として竣工したのは、次の艦だよ」

潜水母艦『大鯨』

空母『龍鳳』
全面電気溶接、ディーゼル機関など当時の技術の粋が集められたが、そのため運用にも苦労した。

・『剣崎』級級給油艦(竣工途中に潜水母艦に)『高崎』『剣崎』

『祥鳳』型航空母艦『祥鳳』『瑞鳳』

・『千歳』型水上機母艦『千歳』『千代田』

『千歳』型航空母艦『千歳』『千代田』
小型潜航艇『甲標的』も運用できるようにした水上機母艦。甲標的は軍事機密だったため、公文書では水上機母艦のままだった。

・水上機母艦『瑞穂』
千歳型と準同型艦で機関を完全ディーゼルとしたが故障が多発した。甲標的運用能力はない。

・水上機母艦『日進』
瑞穂と同じく完全ディーゼルだが、瑞穂の教訓からか高速が発揮できた。甲標的運用能力はあったが、それよりも大きな格納庫から重火器の運送艦として使われた。

「このうち、『瑞穂』は改装前に沈没したため、『日進』は高速輸送艦として使い勝手がいいため、改装は行われなかった」
kagami.jpg「予定通りは行かないものね……」
miyuki.jpg「また、平時に民間船舶として使っているものを有事には海軍艦艇として使おうという発想は昔からありましたが、日本海軍はさらに一歩進み、平時から有事を見越して民間船舶を即時武装できるように作った艦を設計しておくようにしました」
「大型・高速の優秀船を作ろうとした会社には海軍から助成金が出た。もちろん、有事には徴用するという前提付きで」
miyuki.jpg「昭和十二年に施行されたこの法律を『優秀船舶建造助成施設』といい、多くの大型船舶が建造されました。有名な氷川丸もこれによって建造されたんですよ」
田村ひより「へぇーっ。そうなんスか!」
konata.jpg「うち,空母に改造されたのは以下の艦だよ」

・『春日丸』型→『大鷹』型
それぞれの頭文字を取ると所属している日本郵船株式会社の頭文字NYKとなるため、NYK船とも呼称された。欧州航路用に建造されたが、戦火が大きかったため,やむなく太平洋航路で運用された

・『あるぜんちな丸』→『海鷹』
小型だったため、開戦時には改装予定から外されたが、ミッドウェー作戦後の空母の不足によって空母への転用が決定した。同型の『ぶらじる丸』は改装前に沈没した。

・『出雲丸』型→『飛鷹』型
東京オリンピックを見越して建造された。当時の日本の客船としては最大級で太平洋航路の客船としても最大だった。

「使い勝手はどうたんですか?」
konata.jpg「まず、軍艦から改装した空母予備艦……これは改装した時期によってピンキリだね」
miyuki.jpg「昭和十五年に『高崎』から改装された『瑞鳳』はアリューシャン攻略作戦や南太平洋海戦などに参加し、それなりの活躍を収めています。一方昭和十六年に『剣崎』から改装された『祥鳳』は昭和十七年に珊瑚海海戦に参加し、日本空母として初の喪失艦となります」
konata.jpg「『千歳』型はむしろ、水上機母艦、あるいは特殊潜航艇母艦としての活躍のほうが目立つね。戦時中は水上機や特殊潜航艇の輸送などを行って各地を転戦したよ」
「特殊潜航艇って?」
田村ひより「甲標的のことッスよね?」
konata.jpg「そうだよ。甲標的ってのは小型の潜水艦でね、港湾への攻撃に主に使用されたんだ」
「『千歳』型は空母としてはマリアナ沖海戦とレイテ沖海戦に参加し、レイテでは囮任務を果たして沈没した」
miyuki.jpg「『大鯨』は潜水母艦として数年使われた後、昭和十七年に改装を完了し、若干低速だったため主に輸送任務に従事しました。マリアナ沖海戦にも参加しましたが、戦果は上げられず小破し、修理が完了したころには出番がありませんでした」
konata.jpg「さて、商船改造空母だけど、これはアメリカやイギリスの商船改造空母とは違うんだ」
田村ひより「護衛空母じゃないんですか?」
konata.jpg「護衛空母っていうのは主に商船護衛を担当するために産まれた空母でしょ。日本の商船改造空母は輸送空母とでも称すべきものだったんだ」
「輸送空母……」
konata.jpg「つまり、占領した地域に航空機を輸送するのが主な役割だったってわけさ」
田村ひより「苦労して改装したのになんだか勿体無い気がするッス」
「そんなことない。航空機を航空機のまま輸送できるのは大きい利点」
kagami.jpg「普通の輸送船・運送艦なら部品ごとに運んで現地で組み立てなきゃいけないわけだしね」
miyuki.jpg「もちろん、正規空母と一緒に決戦用として用いる案もありました。しかし、商船としては高速とはいえ二十ノット強のものばかりで無理のある案です。それに、大戦後半にもなれば、艦載機の大型化が進んでこれらの小型空母では運用が難しくなりました」
「30ノットなんて馬鹿みたいな速力は商船としては経済性を無視した必要ない性能だった」
miyuki.jpg「また、これらの小型空母は海上護衛戦にも投入されますが、対潜捜索兵器の立ち遅れなどの問題点が原因であまり戦果をあげられませんでした」
konata.jpg「結果として輸送任務に従事させたのは正解だったってことさ」
「国が変われば運用方法も変わるものなんだね」
miyuki.jpg「最後に『出雲丸』『樫原丸』を改装した『飛鷹』『隼鷹』です。この二隻は他の商船改装空母と違い大型だったため、多数の海戦に参加しました」
konata.jpg「二十五ノットと低速だけど、飛龍か蒼龍なみの性能があったからね。特に『隼鷹』は武運に恵まれてね。米空母『ホーネット』の撃沈に関わってるよ」
「『飛鷹』はマリアナ沖海戦で喪失たが、『隼鷹』は終戦時まで残存した」
田村ひより「『大和』や『翔鶴』と並んで現在でもファンが多い艦っスね」

miyuki.jpg「さて、次回はいよいよ太平洋戦争で、大きく海戦の様相が変わる姿をしたいと思います」
田村ひより「大艦巨砲主義から航空優兵主義へ、ッスね!」
「もしくは、リクエストのあったキング・ジョージⅤ世級戦艦について詳しくやる予定」
konata.jpg「それでは次回もお楽しみに~」

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konata.jpg野上武士先生、『萌えよ! 戦車学校III型』の発売、おめでとうございます」
「おめでとーございます」
miyuki.jpg 「るあも読みました。とても面白かったです」
konata.jpg 「さー、それからリスペクト、もしくはインスパイヤされてる私たちもがんばろうか」
kagami.jpg 「リスペクトとかインスパイヤっていうと何かいやーな感じに聞こえるわね……」

miyuki.jpg 「さて、今回は予定を変更して、ドイッチュラント級の系譜についてやろうと思います」
「系譜?」
konata.jpg 「ドイッチュラント級から派生していった艦が各国にあるってのは言ったよね? それを個艦別に扱おうってことさ」
miyuki.jpg「今回は第9回目のような形式にしたいと思います」
konata.jpg 「なお、今回から新しい人が増えるよ」
田村ひより「うっス、田村ひよりっス。よろしくお願いするっス」
kagami.jpg「なんでまた、第11回目にもなって……」
「バランスの問題……」
kagami.jpg「ああ……先生役2、補助役1、生徒役3じゃさすがにバランスが悪いってことね……また、ぞろ安直な……」
「まあまあ」
田村ひより「ちなみに、軍オタ初心者(という設定)っス」
kagami.jpg「設定いうな!」
miyuki.jpg「なお、今回は『真実一路』さんの記事に多分に影響を受けています。良かったら、そちらもどうぞ」
「正直あっちのが分かりやすいです。そちらを合わせて読むことをおすすめします」

konata.jpg 「さて、本題に入る前にまず予習と復習をしようか。主砲の威力を高めようとしたら、どんな方法があった?」
「口径の大型化だよね」
konata.jpg 「その通り。でもそれだけじゃないよ」
kagami.jpg「他には何があるのよ?」
田村ひより「砲身の長さを長くすることっスか?」
konata.jpg 「ひよりん正解。でも、それ単独じゃ△だね。それがどうしてなのかを知らなくちゃいけないよ。」
田村ひより「うっス。分かりました」
miyuki.jpg「主砲の威力を高めるには大きく分けて三つの方法があります。第一に主砲の口径サイズの大型化、第二に初速(弾が主砲から飛び出る速さ)の増大、第三に弾の重量を増やすことです」
 「それぞれ、どんな効果があるの?」
「初速が上がればそれによって速度の二条に比例する運動エネルギーが上がる。重量を増やせば位置エネルギー……放物線を描いたときの最大の高さからの位置エネルギーが増加する」
「位置エネルギーは重力加速度×重さ×高さだよね。つまり、重ければ大きいってことだね」
konata.jpg 「これらの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあるんだ。まず、主砲の大口径化を基準として考えるよ」
miyuki.jpg「まず、初速を増やすやり方ですが、この方法のメリットとしては射程が延びることが上げられます。また、近距離での垂直装甲貫通能力が上がります」
 「デメリットは中距離での水平装甲貫通能力が劣ること」
「どうして?」
konata.jpg 「例えばだけど、初速の速い40cm砲と初速の遅い40cm砲があったとするよ。初速が速い方の最大射程を4万メートル、遅い方を3万5千メートルと仮定する。3万メートルを狙って弾を撃った時、最終的に落ちる地点でどっちが落下角度は大きいかな?」
田村ひより「初速が遅い方……っスよね?」
konata.jpg 「その通り。そして落下角度っていうのは大きいほど水平装甲貫通能力が大きくなるんだ」
miyuki.jpg「キャッチボールの図を思い出してくださいね」
「なるほどー」
miyuki.jpg「また、初速を早くすると弾がブレやすくなります。結果的には散布界……弾が落ちる所の狙った中心点からのバラつきが大きくなり、命中率が悪くなります」
konata.jpg 「ひよりんのいった砲身を長くするというのはこれだよ」
田村ひより「なるほどっス」
「どうして砲身を長くすることが初速を増やすことに繋がるの?」
konata.jpg 「砲身が長ければ火薬によって弾を押す時間が長くなるからさ。つまり、より長い時間力をかけられるってこと」
「ふむふむ」
「なるほど……」
「最後に弾の重量化……デメリットは射程が延びないこと。重い弾を使うわけだから同じ初速なら放つ物体が重いほうが届く距離が短いのは当然」
konata.jpg 「メリットは運動エネルギーが落ちないことかな」
kagami.jpg「運動エネルギーは重さ×速さ×速さよね」
konata.jpg 「そう。速さってのは空気抵抗や弾同士の干渉で遅くなったりするからね。運動エネルギーを速さに依存すると威力も落ちやすいんだ。でも、重さってのは変わらないから威力は落ちない」
kagami.jpg「つまり、弾は飛ばないけどその分威力は上がるってことね」
konata.jpg「そのとおり」
miyuki.jpg「このことを踏まえて今回の授業はいきますよ」
konata.jpg 「これは頻繁に出てくるから今回以外でも大事だよ」
田村ひより「わかりました」
kagami.jpg「覚えておくわ」

miyuki.jpg「さて、まずはドイッチュラント級装甲艦です」
konata.jpg「この手の軍艦の始祖だね。まずはドイッチュラント級戦艦がどうして作られたのか考えてみようか」
田村ひより「通商破壊戦を繰り広げるためではないんスか?」
konata.jpg 「残念ながら違うよ。それは結果的にそうなっただけ。そう誤解してかいてある資料も多いみたいだけど、ドイッチュラント級装甲艦が通商破壊戦に用いられたのは飽くまでそう使ってしまっただけで、元の狙いは違うんだ」
miyuki.jpg「ちなみに通商破壊戦とは、相手の通商路……商戦などが通る回路で商戦の撃沈・拿捕をする方法で、意味合い的には兵糧攻めと同じです」
「ふむふむ」
田村ひより「それじゃあ、どうして、2万浬なんて馬鹿みたいな航続距離を持っていたんスか?」
kagami.jpg「私も気になるわね。どう考えても過剰でしょ」
konata.jpg 「それはね、ドイツの艦艇が少なかったことに起因するんだよ」
「どゆこと?」
konata.jpg「例えばある海域で戦闘が発生したとするよ。すると、その場に居ない軍艦はなす術が無いわけだよ」
kagami.jpg「まあ、それもそうよね」
konata.jpg 「でも軍艦が最高速度でかっとんでいけば戦場について戦況に寄与することが出来るかもしれない。つまり、ドイッチュラント級には速力最大で海域のどこにでもいける能力が求められたんだ」
「つまり、26~28ノットで北から南へ、南から北へと向かえる能力がもとめられたってこと?」
田村ひより「あるいは、最大速力で他国の戦艦の航続力と同等のものが欲しかったということっスか?」
miyuki.jpg 「その通りです。10ノットで2万浬という化け物みたいな航続力は飽くまでオマケに過ぎません」
kagami.jpg一隻で二隻、三隻分の活躍をできる艦ってわけね」
konata.jpg「良く考えてみなよ。ドイツが通商破壊戦しかける相手がどこにいる?」
田村ひより「えーっと……イギリスとか……」
konata.jpg 「イギリスは戦力差がありすぎて論外だよ。となると隣国のフランスやポーランドになるんだけど陸続きの相手に海路で通商破壊戦をしかけても効果は薄い」
「通商破壊戦は長期戦向けで短期戦には向かない戦法」
konata.jpg「そして長期戦になれば戦力が限られているドイツは片方に攻めている間にもう片方から攻められる危険性がある。仮に戦争になったとしてド イツには短期戦しか方法はない。つまり、通商破壊戦をしかける相手がいないんだよ」
田村ひより「なるほどっス」
kagami.jpg 「で、ドイッチュラント級装甲艦が作られた理由は何なわけ?」
konata.jpg 「ドイッチュラント級装甲艦が主敵としていたのは第一に北欧の海防戦艦、第二にソ連・フランスの弩級戦艦、第三に他国の条約型巡洋艦だったんだ」
miyuki.jpg 「なお、それぞれの大まかな能力を下に書いておきますね」

艦名 艦種 排水量 速力 主砲 舷側装甲 甲板装甲
スヴェリエ 海防戦艦 スウェーデン 7820t 22.5ノット 28.3cm砲4門 203mm 50mm
ノルゲ 海防戦艦 ノルウェー 3645t 16.5ノット 20.8cm砲2門 152mm 51mm
イルマリネン 海防戦艦 フィンランド 3900t 16ノット 25.4cm砲4門 55mm 20mm
ニールス・ユール 海防戦艦 デンマーク 3800t 16ノット 15cm砲10門 195mm 不明
ガングート 戦艦 ソ連 23360t 23.4ノット 30.5cm砲12門 229mm 76mm
クルーベ 戦艦 フランス 21400t 21ノット 30.5cm砲12門 270mm 110mm
デュケーヌ 重巡洋艦 フランス 10000t 33.5ノット 20.3cm砲8門 50mm 20mm
ロンドン 重巡洋艦 イギリス 9500t 32ノット 20.3cm砲8門 111mm 76mm
カフカズ 重巡洋艦 ソ連 7440t 29.5ノット 18cm砲4門 76mm 25mm
トレント 重巡洋艦 イタリア 10500t 35ノット 20cm砲8門 70mm 50mm
ドイッチュラント 装甲艦 ドイツ 11700t 26ノット 28.3cm砲6門 60mm 40mm

kagami.jpg「こうして見ると装甲艦の奇抜さというか中途半端さが際立ってるね」
田村ひより「装甲はほとんど捨てているけど速力は巡洋艦より遅くて、砲力は弩級戦艦の半分程度。でも、海防戦艦や巡洋艦よりは上……」
konata.jpg 「まず、海防戦艦を相手にする場合から見ていこうか。これの場合は負ける心配はほとんどないと思うよ」
kagami.jpg「まあ、装甲以外は全部上だしね……」
konata.jpg 「速力ってものは以外に重要なものなんだよ。相手が自分より弱敵、または同等の場合は常に有利な位置からの砲撃が可能になるし、相手の方が強敵だったなら逃げる事も出来るからね」
「脅威となるのはスヴェリエぐらいだけど、同じ28.3cm砲でもドイツのほうが射程が長い……つまりアウトレンジ攻撃が可能。それに手数も多い」
田村ひより「不用意に近づかない限りは負ける心配はない、ってことっスね」
miyuki.jpg「次に弩級戦艦です」
kagami.jpg「これはちょっと勝ち目が薄いんじゃない?」
konata.jpg「確かに単艦ではそのとおりだよ。でも二隻、あるいは三隻なら?」
「それは……負けるのは装甲ぐらいになるね」
konata.jpg 「ハナから一隻で勝とうなんてしてないんだよ。二~三隻ぐらいでいっしょに行動して、同じ敵を叩く……もともとドイツではそういう試算をしていたんだ。最終的には三隻しか建造されなかったドイッチュラント級だけど、最初は六隻建造する予定だったしね」
「つまり、勝ち目はあるってこと?」
 「ん……勝ち目はあるけど、高くはない、といったところ」
「どうして?」
konata.jpg 「まず、装甲という面が一点。極端に装甲が薄いから一発で轟沈、なんて自体もありえる。対して、相手の弩級戦艦の方はドイッチュラント級の主砲が若干威力に劣る28.3cm砲であることも起因して轟沈なんてことはまずない」
kagami.jpg「まあ、それもそうね」
konata.jpg 「そして第二に、条約型巡洋艦の存在だね」
「え? どういうこと?」
konata.jpg「よし、それじゃ条約型巡洋艦を相手にするときのことを考えてみようか」
kagami.jpg「これは、一番装甲艦に近い能力ね……速度で圧倒的、主砲はサイズは劣るけど砲門数が多い、装甲は同等……」
「まず、相手の方が速力が速いから弩級艦や海防戦艦のときと違って常に有利な位置で戦えない。つまり、アウトレンジ攻撃(相手の主砲の射程外から一方的に攻撃をする方法)がとれるかどうか怪しい」
「つまり、威力に勝るだけで、装甲は下手すれば条約型巡洋艦より薄いから相打ちになりえるってこと?」
「そういうこと」
konata.jpg「つまり、ソ連やフランスは条約型巡洋艦(もしくはそれに近いもの)を保有している。戦艦どうしが単艦で決戦することなんてマズないから、条約型巡洋艦を持っている相手の方が圧倒的に有利……弩級戦艦に対する勝ち目が薄いってのはそういうことさ」
kagami.jpg「相手が恐れて逃げ出したらともかく、逃げずに突っ込んできたらなすすべなし、ってことね」
konata.jpg「もちろん、近づかれる前に沈めればいいんだけどね。現実はそうも甘くないのさ」


miyuki.jpg「さてドイッチュラント級装甲艦にはじめに対抗した艦。それがこのダンケルク級戦艦です」

(アイコンなし)
ダンケルク級戦艦
基準排水量:26500t
満載排水量:35500t
全長:215.1m
全幅:31.1m
出力:112500馬力
速力:29.5ノット
航続距離:7500浬/15ノット
装甲:舷側225mm、甲板125mm、主砲塔前面330mm、主砲塔側面225mm、バーベット340mm、司令塔269mm
兵装:50口径33cm4連装砲2基、45口径13cm4連装高角砲3基、同連装砲2基計16門、60口径37mm連装機銃4基8門、70口径20mm機銃32門、水偵4機、カタパルト1基

konata.jpg 「ところで、戦艦の大まかな定義は覚えてるかな?」
「その国で一番強い艦……だよね?」
「そう。そして強い艦っていうのは火力があってそれに対する対応防御ができていることが条件」
konata.jpg 「ところが、ダンケルク級は(この時点で)フランス最強艦じゃないんだ。すでにブルターニュ級戦艦という34cm砲を積んだ超弩級艦が居たんだよ」


ブルターニュ級戦艦
基準排水量:23230t
満載排水量:27340t
全長:165.8m
全幅:27m
出力:43000馬力
速力:20ノット
航続距離:4700浬/10ノット
装甲:舷側261.6mm、甲板58.4mm、主砲塔前面400mm、バーベット254mm、司令塔315m
兵装:45口径34cm連装砲5基10門、55口径13.9cm単装砲10門、10cm単装高角砲7門、45mm機銃2門、水偵1機、カタパルト1基

konata.jpg 「こうして見るとブルターニュ級の方が主砲のサイズは大きいし、装甲も上。装甲が対応防御だと考えると威力で新型の33cm砲が勝っているとも考えづらいね」
「つまり、ダンケルク級は最強じゃないってこと?」
 「そう。極端なことを言えば、ダンケルク級戦艦は戦艦じゃない
「ははあ……」
miyuki.jpg「ダンケルク級は戦艦というよりはパワーアップした巡洋艦……そうみなすべきでしょうね」
「ダンケルク級の特徴はまず主砲を前面に集中させたこと」
「珍しい形だね」
miyuki.jpg「この形なのはあとはイギリスのネルソン級戦艦しかありません」
田村ひより「大和も最初はこういう形にする予定だったんスよね」
「そう。でも大和ではデメリットのほうが大きいとされて不採用になっている」
kagami.jpg「この方法のメリットとデメリットは?」
konata.jpg 「まず、メリットは重量が軽くなることかな。一番守らなくてはいけないところを集中させるわけだから装甲を節約できる」
miyuki.jpg「また、前方火力が大きいため高速で走り回り敵を封じ込めるには最適です」
konata.jpg 「デメリットはその逆だね。つまり、後ろに撃てない」
「巡洋艦とかに後ろから近づかれたら弱いってこと?」
konata.jpg 「そうだね。でも、ダンケルクは前方の主砲の撃てる角度が広いんだ。つまり、真後ろ以外ではだいたい対応できるようになってる」
「ほかに特徴といえば……」
「4連装砲の採用。メリットは砲塔重量を軽くできること」
miyuki.jpg「連装砲2基より4連装砲1基のほうが軽いということです」
konata.jpg「さっきと同じで装甲にまわす分の重量が軽減できるってわけだよ」
kagami.jpg「そういえば、どこの国でも4連装砲を採用している国はなかったわね」
konata.jpg「アメリカで6連装砲なんてバカみたいな主砲を採用しようとしたときもあったけどね。4連装砲ってのは技術的な冒険なんだよ。実際、イギリスで4連装砲を採用したキングジョージⅤ世級戦艦は故障が多発して大変だったみたいだよ」
「じゃあ、ダンケルク級もそうなったの?」
konata.jpg「ところがそうはならなかった。なぜならダンケルク級の4連装砲が連装砲を繋げた4連装砲だったからさ」
「どういうこと?」
「連装砲を繋げた4連装砲は純粋な4連装砲より防御間隔が広くなる。つまり直接防御は普通の4連装砲より甘くなる」
「勿体無いね……」
konata.jpg「悪いことばかりじゃないんだよ。4連装砲ってことは一つ砲塔が潰されると一気に火力が半分になることを意味している。砲塔と砲塔の間に一発食らえば両方が使えなくなる危険性すら孕んでいるんだ」
kagami.jpg「危ないのね……てか、折角装甲を増やしたのにそれじゃ……」
konata.jpg「連装砲塔を繋げた4連装砲の場合はこの危険性がずいぶん小さくなるんだ。つまり、4門中2門を犠牲にしても2門を使うことができる可能性が増える。それに砲塔どうしの間も空いてるから両方が同時に使用不能なんて状況には陥りがたい」
kagami.jpg「つまり、ダメージを食らったときのことを考えた砲塔なのね」
konata.jpg「そのとおり。それに、故障もずいぶん少ないんだよ。連装砲はどこの国でも採用していたスタンダードなものだからね」
田村ひより「技術的冒険と基本の応用がうまくかみ合い、結果的に成功作になったいい例なんスね」
miyuki.jpg「なお、ダンケルク級はドイッチュラントに対抗するために生まれたという説もありますが、フランスが独自に通商破壊戦を行おうとしていたというせつもあります」


基準排水量:32358t
満載排水量:38700t
全長:235.4m
全幅:30m
出力:163000hp(最大)
速力:31.5ノット
装甲:舷側170~350mm、甲板50~105mm、主砲塔前面360mm、主砲塔側面200mm、主砲塔天蓋180mm、バーベット280~350mm、司令塔220~350mm
兵装:54.5口径28.3cm3連装砲3基、55口径15cm連装砲4基、同単装砲4基計12門、65口径10.5cm連装高角砲7基14門、83口径37mm連装機関砲8基16門、20mm機銃10門、水偵3機、カタパルト1基

konata.jpg「で、そのダンケルク級に対抗しようとドイツが作ったのがシャルンホルスト級巡洋戦艦だね」
田村ひより「ああ、ヘボ戦艦っスね」
「ヘボなの?」
konata.jpg「ヘボな理由は説明するけど、ヘボなのは間違いないね」
「どうしてヘボなの?」
「主砲が原因」
kagami.jpg「主砲……28.3cm砲だからドイッチュラント級と同じね」
miyuki.jpg「シャルンホルストは当初38cm砲を積む予定だったんですが、生産が間に合わなくず、結局ドイッチュラント級と弾が共有できる28.3cm砲を積むことになったんです」
田村ひより「でも、ドイッチュラントに比べて砲身長が長いっスね。ということは射程と威力が大きいということっスよね?」
「そう。ただし、それは物事の一面」
「どういうこと?」
射程が長いということは、射程の中~近距離での落下角度が小さいことを意味する。シャルンホルストの主砲の最大射程は40930メートル……大和に匹敵するほど遠い」
konata.jpg「でも、それは中距離……2万メートル前後での水平装甲貫通能力が小さくなることを意味するんだ。落下角度が小さくなるからね」
「じゃあ、遠距離で戦えば?」
konata.jpg「遠距離だと今度は28.3cm砲弾なんて中途半端さが災いする。このサイズの弾の重量は小さいからね。打ち上げた後の重力による最加速が小さくなって威力は落ちるんだよ。オマケに、さっきいったように初速が速いと命中率が悪くなるしね」
「つまり、シャルンホルストの有利なところは近距離しかないってこと?」
konata.jpg「そう。実際、近距離ならシャルンホルストの28.3cm砲は38~40cm砲に匹敵する能力なんだ。そして射程も46cm砲に匹敵する。問題は両者がそれぞれ独立していて、どちらかを取るとどちらかを捨てなければいけないって点なんだ」
kagami.jpg「つまり、遠距離だと威力におとり威力を取ると自分に不利な近距離戦しかない、と……」
konata.jpg「その通り。とはいっても、38cm砲に換装する予定だったんだけどね。そうなれば充分に使えるになったとは思うよ」
kagami.jpg「28.3cm砲に38cm砲と同じ能力を求めることがそもそも無理、ってことね……」
miyuki.jpg「シャルンホルスト級の不幸……それは主砲の生産が間に合わなかったことにあるといっていいでしょう」

konata.jpg「さて、次は太平洋方面に入るよ。まずはアラスカ型大型巡洋艦だ」


基準排水量:27000t
全長:246.46m
全幅:27.7m
吃水:9.72m
出力:150,000hp
速力:31.5ノット
航続力:12000浬/15ノット
装甲:舷側229mm、甲板102mm、主砲塔325mm、バーベット279~330mm、司令塔254mm
兵装:50口径30.5cm3連装砲3基9門、38口径12.7cm連装高角砲6基12門、56口径40mm4連装機関砲18基72門、70口径20mm機銃34門、水偵4機

miyuki.jpg「アラスカ級大型巡洋艦はドイッチュラント級装甲艦、シャルンホルスト級巡洋戦艦、日本の秩父型大型巡洋艦の対抗馬として生まれました」
kagami.jpg「ヘボ戦艦なのに?」
konata.jpg「ヘボ戦艦でも通商破壊戦に使われたらやっかいだしね。それにシャルンホルスト級巡洋戦艦はドイッチュラント級装甲艦と違って対重巡洋艦としては充分な性能を持っていたんだよ」
miyuki.jpg「それに1930年代のアメリカの戦艦郡は軒並み20~23ノットと低速でした。シャルンホルストやドイッチュラントと遭遇しても逃げられる可能性が大きくなります」
「なるほど……ところで秩父型大型巡洋艦って?」
田村ひより「B-64型大型巡洋艦のことっスか?」
konata.jpg「ひよりんのいったB-64型については次に説明するよ。でも、それじゃあない。アメリカは日本でもシャルンホルストのような小型戦艦(もしくは大型巡洋艦)を建造中だと思っていたんだ。ただ、これは情報自体が間違っていて、寧ろアラスカの情報から日本が大型巡洋艦を建造したぐらいなんだ」
「案外マヌケだったんだね。アメリカって」
miyuki.jpg「それだけ、情報戦は難しいということですよ」
konata.jpg「これの特徴はとにかく『長い』ことかな」
kagami.jpg「『長い』? 『大きい』じゃなくて?」
「そう。たとえば、全幅が33.1mの扶桑は全長は212.8mだし、全幅が34.6mの長門は全長が224.5mしかない」
「扶桑や長門のほうが普通なんだよね?」
konata.jpg「そうだね」
「となるとアラスカはホントに細長い艦なんだね」
kagami.jpg「長いと何か悪いところがあるの?」
konata.jpg「メリットとデメリットがあるね。まず、メリットとしては足が速くなること。同じ長さで同じ出力なら幅が短い方が速力が大きくなるんだ」
kagami.jpg「まあ、それは判るわ。抵抗の関係よね」
konata.jpg「逆にデメリットは、操舵性・凌波性が極端に悪くなること。つまり、海が荒れるとグラグラと動揺することになるんだよ」
miyuki.jpg「また、直進性が良すぎるので舵の効きも悪くなります。このため、艦隊行動がとりにくい艦となりました」
konata.jpg安定性が悪いから砲撃の時も艦が同様して狙いが付けにくい。それに砲撃時の艦の揺れも大きくなるから、散布界も悪くなる。細長いから砲塔間の距離が空いて、これも散布界が悪くなる原因になる
kagami.jpg「こりゃまた……デメリットの方が多いじゃないの」
「問題児なんだね」
konata.jpg「問題児なんだよ。主砲は優秀なんだけどね。こういう目に見えないスペックが悪いから」
miyuki.jpg「良くアラスカはその中途半端な性能ゆえに活躍できなかったと聞きますが、活躍できなかった理由はその目に見えない性能だったのではないかと思いますね」
「じゃあ、どうしてこんな半端な艦を作ったの?」
konata.jpg「日本の重巡洋艦に対抗するためだよ。日本は雷装を重視していたから重巡に61cmという大口径の魚雷を採用していたんだ」
「対するアメリカは雷装をしていない艦のほうが多かった。これはアメリカが重巡を偵察戦力とみなしていたため」
「つまり同じ巡洋艦なら日本のほうが強い?」
田村ひより「単純に考えればそっスね……」
konata.jpg「つまり、日本の重巡洋艦に対抗するのにアメリカの重巡洋艦じゃ力不足だったわけ。で、それが理由で完成したのがアラスカだったってわけさ」
miyuki.jpg「アラスカは当初の目標こそ達することができませんでしたが、その高速性と高い対空能力を活かし空母の護衛として活躍しました」

konata.jpg「さあ、最後は日本の艦だよ」
miyuki.jpg「ただし、これまでとは違い未成艦ですがけどね」


超甲巡(B64型大型巡洋艦、795号艦)
基準排水量:32000t
全長:244.6m
全幅:27.2m
吃水:8.8m
出力:170000hp
速力:33ノット
装甲:舷側190mm(傾斜20mm)、甲板125mm、主砲塔天蓋70mm
兵装:50口径31cm3連装砲3基9門、65口径10cm連装高角砲8基16門、60口径25mm3連装機銃4基12基、76口径13.2mm4連装機銃2基8門、61cm4連装魚雷発射管2基8門、水偵3機、カタパルト1基

「超甲巡……なんだかカッコいいね」
konata.jpg「甲巡ってのは重巡洋艦のことだよ。ちなみに、乙巡と丙巡が軽巡洋艦。つまり、超甲巡ってのは重巡洋艦以上の巡洋艦って意味があるのさ」
「ふーん」
田村ひより「大和の配置に似てるっス」
konata.jpg「そうだね。艦橋の位置、主砲の位置、防御配備、それらが全て大和を参考にされたからね」
kagami.jpg「似てるのは当然、ってわけね」
konata.jpg「超甲巡はアラスカに対する対抗馬として生まれたんだ。だけど、他国のこのテの艦とは決定的に違う面が一つある。それがどこかわかるかな?」
田村ひより「んー……魚雷兵装っスか?」
konata.jpg「正解。じゃあ、どうして魚雷兵装があるかわかる?」
「えーっと……どうしてだろう?」
田村ひより「ちょっと……分からないっス」
miyuki.jpg「それは、超甲巡が飽くまで重巡洋艦の延長線上にあるからですね」
田村ひより「どういうことっスか?」
konata.jpg「条約型巡洋艦に求められたのが準主力艦としての役割だった、ってのは言ったよね? 日本が雷装を重視したのは巡洋艦でも戦艦を屠ることが出来るように、ってことなんだ」
kagami.jpg「確かに20.3cm砲だけじゃ戦艦を相手取るのはきついわね……」
konata.jpg「でも、20.3cm砲装備で対応防御が出来ていないとなると、戦艦を相手にする前に敵の巡洋艦によって邪魔される……超甲巡は敵の巡洋艦を無視して敵の戦艦を屠れるようにした艦なんだ」
「ちなみにアメリカの重巡洋艦は一時期から雷装を外している……先進性が云々と言われるときもあるけどそれは間違い。アメリカは重巡洋艦を対軽巡以下として、あるいは偵察ユニットとしてしか用いようとしなかっただけ」
「じゃあ、他の国のは?」
konata.jpg「他の国のはドイッチュラント級装甲艦が『条約型巡洋艦をつぶせるように』建造したのと同様に、自分より弱い相手を一掃することが目的だったんだ」
kagami.jpg「つまり、日本の超甲巡はそれとは違うってこと?」
miyuki.jpg「もちろん、超甲巡にもそういった役割を与えられています。しかし、それと同時に自分より強い艦に対してもある程度の勝負が出来るようにした艦……それが超甲巡なのです」
「第一次世界大戦の巡洋戦艦から発達した究極の超巡洋艦……それが超甲巡なのかもしれない」
「ちなみに、超甲巡はどうなったの?」
konata.jpg「超甲巡は⑤計画で計画されるんだけど、ミッドウェー海戦で空母が不足したことで重巡、戦艦の優先度は低下して、結局は計画段階で破棄されちゃったんだ」
kagami.jpg「なんだか勿体無いわね……」


miyuki.jpg「さて、次回こそ空母予備艦をやりたいと思います」
「いま気付いたけど、予定通り言ったことってほとんどないよね」
konata.jpg 「そういうところは細かいトコは気にしない」
kagami.jpg「いや、気にしろよ!」


なお、今回以下のサイトよりアイコンおよび画像を使用させていただきました。
モアイ部さま
アイコン&お絵かき工房 

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好きな作家さんは藤子・F・不二雄、前田珠子、新井素子、吉岡平、横山信義、林譲二、橋本純あたり。
好きな音楽は海援隊などのフォーク、中島みゆきなどのニューミュージック。あとはLiaさんや新良エツ子さん、じまんぐさん、Sound Horizon(一期、二期両方)、Suaraなど。
歌じゃないのなら地中海風というかラテン風、イタリア風とテクノっぽいのやカントリー音楽。ピアノ音楽も好き。

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