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konata.jpg「さて、今回は1930年代の欧州方面の話だったね」
kagami.jpg「確かその頃の日本で悪天候で大打撃を受けてそれが日本の造艦傾向に関わったんだったわね」
miyuki.jpg「そしてその頃欧州ではある意味ではドレッドノート並の衝撃を与えた艦が誕生しました。その名を『ドイッチュラント』といいます」
「なんか可愛い名前だね」
「欧州では『ポケット戦艦』、日本では『豆戦艦』とも言われた」
「別名まで可愛いね」
kagami.jpg「確かドイツって意味よね。ドイツ語で」
konata.jpg「そう。その名前の通りドイツで誕生した艦なんだよ、こいつは」

konata.jpg「まず、当時のドイツの状況を確認しておこうか。第一次世界大戦でドイツが負けたのは知ってるよね」
kagami.jpg「ベルサイユ条約で多大の賠償金を課せられて超インフレが起こったんでしょ」
konata.jpg「そう。で、そのベルサイユ条約なんだけど軍隊の方にも及んでいてね。その中でも海軍は戦艦6隻、軽巡洋艦6隻、駆逐艦12隻、水雷艇12隻っていう保有枠があって、しかも特に戦艦は『基準排水量は10000tまで、備砲は28.3cmまで』ってのがあったんだ」
「あれ? 基準排水量10000トンって言うと確かワシントン海軍軍縮条約の……」
「そう。条約型巡洋艦とほぼ同サイズ」
konata.jpg「もちろん、前にも言ったけど、このサイズでは20cm砲以上の大砲に対する対応防御(自艦の主砲を戦闘距離で撃たれて耐え得る防御)を得るのは不可能なんだよ」
「じゃあ、このサイズでの建造なんて……」
kagami.jpg「当然無理よね……」
konata.jpg「だと思うでしょ?」
「違うの?」
miyuki.jpg「いくつか手段はありますね。当時の戦艦を保有するほどの国力のない北欧諸国では排水量3000t~10000tほどの排水量で備砲は20~30cm砲程度の『海防戦艦』というものがありました。しかし、この海防戦艦という艦種は速力が15~23ノット程度と戦艦としても遅く、また航続距離は2000浬もあればいいほうでした」
kagami.jpg「2000浬っていったら……」
konata.jpg「約3700kmだね。日本列島の長さが3500kmだから北海道から沖縄までなんとか航海できる程度しかないってことだね。それも巡航速度のみで」
「海防戦艦というのはその名のとおり完全に沿岸防衛用の艦。正しい意味での『戦艦』ではない。少なくとも『主力艦』とは呼べない」
「じゃあ、ドイツが作ったのも海防戦艦だったの?」
konata.jpg「ところがドイツは諦めなかった。若干オーバーしながらもほとんど一万トンの枠で見事に強力な『主力艦』を作り上げてしまったんだ」
「それこそがドイッチュラント級装甲艦……」


『ドイッチュラント』級装甲艦
起工:1929年
竣工:1933年
基準排水量:11700トン
満載排水量:15900トン
全長:186.0m
全幅:20.69m
吃水:5.8m
出力:54000hp
速力:26ノット
航続性能:10000浬/20ノット(21500浬/10ノット)
装甲:舷側60mm、甲板40mm、主砲塔天蓋105mm、主砲塔前盾140mm、司令塔150mm
兵装:28.3cm3連装砲2基6門、15cm単装砲8基、8.8cm連装高角砲3基、37mm連装機関砲4基8門、53cm4連装魚雷発射管2基8門、水上偵察機2機、カタパルト1基
同型艦:ドイッチュラント(1939年リュッツォウに改名)、アドミラル・シェーア、アドミラル・グラフ・シュペー

「ドイッチュラントの大きな特徴はその長大な航続力。大戦中はその航続力を生かして通商破壊戦で活躍した」
miyuki.jpg「若干の排水量オーバーはしてるけど、とにかくドイツは作りきりました。これに慌てたのがフランスとイギリスです」
kagami.jpg「どうして?」
konata.jpg「スペックを見れば分かると思うけどドイッチュラント級の速力は26ノット。軽荷状態なら28ノットは出る。このスピードは当時20~25ノット程度の速力しか持たなかった各国戦艦が追いつかないことを意味してるんだよ」
miyuki.jpg「そして主砲口径は28.3cm砲。これは当時の条約型巡洋艦の主砲口径サイズよりも大きく、当然射程も長いです。つまり、ドイッチュラントは『戦艦に会敵したらその足で逃げ切り、巡洋艦以下に会敵したらその砲力でアウトレンジをもってして撃ち破る』ことが可能だと思われたのです」
konata.jpg「もっとも、当のドイツでは『弩級戦艦に砲力で負け、巡洋艦で速力で負ける』と言われてたみたいだけどね」
kagami.jpg「過大、過少評価なしに判断するのは難しいものなのね」
「ドイッチュラントの建造でイギリスやフランス、その他欧州各国は大騒ぎになった」
konata.jpg「でー、そのせいでフランスはダンケルク級戦艦を建造し、それに対抗する目的でドイツがシャルンホルスト級巡洋戦艦を作り、それに対抗するためにアメリカがアラスカ級大型巡洋艦を建艦し、それに対して日本が超甲巡を計画し……と、ドイッチュラントのせいで世界中が『ポケット戦艦ショック』とでも言うような事態に陥っちゃったんだよ」
kagami.jpg「はあ……すごいわね。たかだか3隻の軍艦で世界中がこんなに大騒ぎするようなもんなの?」
「ない」
kagami.jpg「え?」
「そんなこと、ない」
「んと……どういう意味?」
「ドイッチュラント級装甲艦にそこまでの価値はない。他国が騒ぎすぎただけ」
konata.jpg「うん、その通り」
kagami.jpg「えーっと……こなたさん? ちょっと説明してくれる?」
konata.jpg「なーに、これまでの授業のおさらいをすれば簡単なことだよ。そもそも日露戦争当時の装甲巡洋艦は主砲が20~25cm砲を4門、20ノットの速力で、自艦の主砲に対する対応防御があったんだよ。確かにこの時代の造船技術の発達には目を見張るべきものがあるけど、たかだが二十数年で自艦の主砲に対する対応防御を備えつつ30ノット近い速力を発揮して、主砲の門数を増やすなんてことが出来ると思う?」
「まあ、まともに考えれば……」
「無理……だよね」
kagami.jpg「つまり、条約型巡洋艦と同じ問題点を抱えてたってわけ?」
konata.jpg「その通り。ドイッチュラント級の装甲じゃまともな戦闘距離なら8インチ(20.3cm)どころか6インチ(15.2cm)でも危ないかもしれないね」
kagami.jpg「ちょ、ちょっと待って。じゃあ、なんでフランスやイギリスが恐れたの? 条約型巡洋艦と同じ弱点を抱えてるんなら条約型巡洋艦でも対処出来るんじゃないの?」
konata.jpg「それこそかがみんがさっき言ってた『過大、過少評価なしに判断するのは難しい』ってことだよ。つまり、フランスやイギリスなんかは『自分とこでは出来ないけどドイツならもしかして……』って判断しちゃったって事」
「ドイッチュラント級装甲艦は当時としては珍しくディーゼル機関を採用していた。ディーゼル機関は機関スペースが小さく出来るから全長が短くなって敵弾が当たり難くなる」
miyuki.jpg「しかし、ディーゼル機関は当時は信頼性が低く、これを採用したドイツが『それほどの』技術をもっているという説得力につながりました」
「へえー……」
kagami.jpg「つまりありもしない幻を恐れてた、と……そういうわけね。なんとも馬鹿馬鹿しい話ね……」
konata.jpg「でも、戦艦が『戦略兵器』であるという概念から考えればドイッチュラント級装甲艦ほど成功した艦も無いんだよ。もともと、ドイッチュラント級装甲艦の主敵は北欧諸国の海防戦艦やフランス・ソ連の弩級戦艦だったんだけど、それ以上の価値があるとフランスやイギリスにも思わせちゃったんだ」
「つまり大国に対しても充分な圧力になった、ってわけ?」
konata.jpg「うん、その通り」」
「そしてその圧力はフランスに対ドイッチュラント級装甲艦としての艦を作らせる。つまり、予算を余計に使わせる」
kagami.jpg「それが《『戦略兵器』としては大成功だった》ってことね」
konata.jpg「その通り。戦艦の実力は『殴り合い』だけじゃないってことだね」
miyuki.jpg「といったところで今回は終わりせていただきますね」
「次回はまた空母の予定」
konata.jpg「といっても、日本の軽空母、あるいは空母予備艦をやる予定だよ」
「空母予備艦?」
konata.jpg「なーに、次回になれば分るよ」
miyuki.jpg「それではまたお会いしましょー」

なお、以下のサイトよりアイコンおよび画像を使用させていただきました。
モアイ部さま
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コメント
無題
初めてで恐縮ですが誤字の報告を。

>それ伊所の価値があるとフランスやイギリスにも思わせちゃったんだ

それ以上、では?
【2008/06/22 15:31】 NAME[オメガ] WEBLINK[] EDIT[]
Re:無題
報告ありがとうございます。誤字、訂正いたしました。
これからも是非よろしくお願いします。
【2008/06/24 16:28】


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好きな作家さんは藤子・F・不二雄、前田珠子、新井素子、吉岡平、横山信義、林譲二、橋本純あたり。
好きな音楽は海援隊などのフォーク、中島みゆきなどのニューミュージック。あとはLiaさんや新良エツ子さん、じまんぐさん、Sound Horizon(一期、二期両方)、Suaraなど。
歌じゃないのなら地中海風というかラテン風、イタリア風とテクノっぽいのやカントリー音楽。ピアノ音楽も好き。

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