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軍事・ヤンデレ・ギャルゲ・音楽・小説などを勝手に
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「ついに第十回」
「随分やったねえ」
konata.jpg「いやー、ここまで来ると感慨深いね」
「ちなみに、どこまでやるつもりなの?」
miyuki.jpg「取り合えず現在までの艦艇の歴史をやった上で、リクエストに答えたり、真実一路さんのところのような細かい解説をする予定です」
kagami.jpg「まだまだこれから、ってことね」

konata.jpg「さて、ワシントン・ロンドン両海軍軍縮条約で米英日と当時の世界三大海軍がその艦艇の保有量を制限されたわけだけど、一番割を食ったのはどこでしょう?」
「一番保有量が少ない日本?」
konata.jpg「その通り。で、日本はその条約の穴を突いてなんとかして力を蓄えようとしたんだ」
条約の穴かァ……」
konata.jpg「まず、ワシントン条約。この条約で制限が加わらなかった巡洋艦に力を入れたのは話したよね。そして、日本は空母にも注目したんだ」
kagami.jpg「空母も保有は制限されてなかった?」
konata.jpg「うん。でも条約の一文をよーく見て」

・空母の基準排水量は一隻あたり1~2万7千t(ただし2隻だけ3万3千tまで可)。備砲は8インチ(20.3cm)まで。

kagami.jpg「あ、そっか」
konata.jpg「そう。排水量が10000t未満の航空母艦の保有は制限されてないんだよ」
miyuki.jpg「そこで日本は基準排水量が8000tの航空母艦を試験的に建造し、その使用実績が良好ならば量産することにしました」
「その考えで作られたのが航空母艦『龍驤』」
「……なんて読むの?」
konata.jpg「『りゅうじょう』ね。ま、常用漢字じゃないから仕方ないけど。ちなみに驤は『上がる』って意味で龍驤は龍が天高く昇っていく様のこと」
「ただ、龍驤の建造にはもうひとつ思惑があった」
「それは何?」
「空母というのはその構造上防御が脆弱な代物……『卵を盛った籠』のようなもの。一発でも爆弾を食らえばそれだけで搭載している飛行機もろとも失われかねない」
konata.jpg「ミッドウェイ海戦のような事例もあるし、あながち間違ってはいないんだけどね」
「だから、大型で搭載機の多い空母を少数生産したほうが有利なのか小型で搭載機の少ない空母を量産したほうがいいのかで意見がわかれていた」
「なるほどー」
konata.jpg「でも後年主流となるのはやっぱり大型で搭載機の多い空母の方がいい、ということなんだけどね」
「大型ならそれだけ防御にもリソースを回せるし、結果として沈みにくいものにすることも出来る」
miyuki.jpg「話を本筋に戻しますが、龍驤は排水量8000t、格納庫一段、搭載機24機の小型空母として計画されます」
「でも、建造途中でロンドン条約が締結されてしまった。ワシントン条約と違ってロンドン条約は10000t未満の空母も対象」
kagami.jpg「つまり、計画自体が無駄になったってこと?」
konata.jpg「その通り。んで、どーせならもっと艦載機が欲しいってことになって設計が変更されたんだ。具体的に言うと一段だった格納庫が二段になって搭載機も二倍の48機に」
miyuki.jpg「しかし、船体はすでに完成していたので船体の割に不釣合いに大きな艦上構造物を持つことになりました。当然この状態では不安定極まりないのでバルジ(船体側面に取り付けて排水量を増加させる出っ張り。浮力・復元力が増加する効果があるが最大戦速及び巡航速が著しく低下する場合がある)の増設などが行われています」
「そして1933年に完成したのがこの龍驤」


軽空母『龍驤』
基準排水量:8000t
公試排水量:10150t
全長:179.9m
全幅:20.32m
飛行甲板:156.5m×23m
喫水:5.56m
出力:65000t
速力:29ノット
航続力:10000浬/14ノット
兵装:12.7cm連装高角砲6基12門、13mm4連装機銃6基24門
搭載機:常用36機(戦闘機12機、攻撃機24機)+補用12機

kagami.jpg「なんというか……排水量は大して変わらないのに鳳翔に比べると随分重装備な艦ね」
konata.jpg「龍驤だけじゃないよ。この時期の艦は制限された艦はほとんどが排水量ギリギリの武装を施していたんだ
「危なくないの?」
konata.jpg「もちろん、危ないに決まってるじゃない
kagami.jpg「うわあ……」
konata.jpg「でも背に腹は変えられない……そういうことだよ」

konata.jpg「なんか、微妙に前回の続きっぽくなっちゃったけど、そんなことないんだからねっ!」
kagami.jpg「無駄にツンデレのテンプレ使うな」
konata.jpg「さて、話題を変えるけど。日本の駆逐艦は元々1000tを越える重武装だけど少数生産の一等駆逐艦と800~900tぐらいの性能はそこそこだけど量産性に優れる二等駆逐艦で構成されていたんだ。現代風に言うなら『ハイ・ロー・ミックス』ってやつだね」
「でも、ロンドン条約が締結された結果、このサイズの二等駆逐艦は建造されなくなる」
「どうして?」
konata.jpg「余裕がないからだよ。二等駆逐艦1.5隻分で一等駆逐艦1隻の排水量。一等駆逐艦1隻の方が二等駆逐艦2隻よりも強い……こんな状況で二等駆逐艦を作ろうとは思わないでしょ?」
「ただし、二等駆逐艦が作られなくなったわけじゃない」
「え? でも余裕がないんじゃ……」
konata.jpg「ゆうちゃん。ロンドン条約の条文をよく思い出して」
「えーっと……」

・新艦建造を五年延長。既存艦の削減(ただし削減艦の一部は兵装・装甲・機関を制限する代わりに練習戦艦として保有可能
・一万トン以下の空母も条約範囲内
・巡洋艦の下限排水量は1850t
・主砲口径が6.1インチ(15.5cm)より大きく8インチ(20.3cm)以下の巡洋艦は重巡洋艦(甲巡洋艦)とし、合計排水量は18万t(米):14万6800t(英):10万8000t(日)まで(比率は10:8.1:6.02)
・主砲口径が5インチ(12.7cm)より大きく6.1インチ(15.5cm)以下のものを軽巡洋艦(乙巡洋艦)とし、合計排水量は14万3500t(米):19万2200t(英):10万450t(日)まで(比率は10:13.4:7)
・駆逐艦は主砲5インチ(12.7cm)以下で基準排水量は600tを越え1850t以下。合計排水量は15万t(米英):10万5500トン(日)まで(比率は10:10:7)
・1500tを越える駆逐艦は合計排水量の16%まで(駆逐艦が厳しいのは大型駆逐艦を制限するため)
・潜水艦は上限排水量は2000t、備砲は5インチ以下。3隻に限り2800tまでで6.1インチ以下。合計排水量は各国とも5万2700tまで
・基準排水量1万トン以下、速力20ノット以下、備砲6.1インチ砲4門以下の艦と基準排水量600t以下の艦は無制限

「だよね?」
konata.jpg「そう。その中で重要な一文があるよ。駆逐艦みたいな小型戦闘艦艇を制限無しで作る穴がね」
「んーっと……あ!」

・基準排水量1万トン以下、速力20ノット以下、備砲6.1インチ砲4門以下の艦と基準排水量600t以下の艦は無制限

「これだね!」
konata.jpg「その通り!」
「つまり日本は排水量600tで二等駆逐艦を作ろうとしたの」
miyuki.jpg「それが『水雷艇』と呼称された『千鳥』型水雷艇です」
「ちなみにこの条約制限外で作られた水雷艇、日清~日露戦争前後の水雷を主兵装とした小型の水雷艇とは全くの別物」


『千鳥』型水雷艇
基準排水量:535t
公試排水量:615t
全長:82m
全幅:7.2m
喫水:2.2m
出力:11000馬力
速力:30ノット
航続力:3000浬/14ノット
兵装:12.7cm連装砲1基、同単装砲1基、13mm単装機銃1基、53.3cm魚雷連装発射管2基4門、爆雷投射 機1基、爆雷9発

konata.jpg「こうして、なんとか制限を補おうとした日本海軍だけど、ある事件が起きたんだ」
「ある事件?」
「そう。千鳥型水雷艇三番艦『友鶴』の転覆。通常『友鶴事件』」
miyuki.jpg「事件の概要は昭和9年(1934年)3月12日、夜間訓練を終えた友鶴が佐世保に帰投中、荒天の衝撃を受けて大傾斜して転覆したというものです。殉職者は艇長岩瀬奥市大尉を含む死者72名、行方不明28名。生存者はわずか13名でした」
「……」
「船には復元力というものがある。ある程度の傾きなら船は起き上り小法師かやじろべえのようにもとに戻ろうする。でもこれは重心がある程度低い位置にあることが前提
kagami.jpg「じゃあ、友鶴事件の原因は……」
konata.jpg「明らかに復元力の不足……兵装過多で重心が上過ぎた(トップヘビーだった)ことだね」
miyuki.jpg「この事件の影響を受け、多くの海軍艦艇が復元性改善のために武装など一部の艦上構造物の縮小や撤去、バルジの設置など重心の低下対策がとられました」
「ただ、現在では艇長の岩瀬大尉の操舵ミスだったという説も有る。でも、それが本当だったとして、少し下手こいただけで沈むフネも問題がある」
konata.jpg「でも、さらに一年後の1935年9月26日、三陸沖で大事件が起きたんだ」
「それが第四艦隊事件と呼ばれるもの」
miyuki.jpg「1935年の大演習は第一、第二艦隊と臨時に編成された第四艦隊とで行われる予定でした。特に九月の演習は演習の大詰め。友鶴事件の結果改装された艦も参加し成果が期待されていました」
konata.jpg「でも、その時、日本には大きな台風が近づいてたんだよ」
「当時の様子を再現するとこんな感じ」

 

koizumi.gif「司令長官。気象台からの情報では午後に我が艦隊と台風が遭遇しそうです」
haruhi.gif「ふーん」
koizumi.gif「反転して回避した方がいいと思いますが……」
haruhi.gif「何を言ってるの!」
kyon.gif「は?」
haruhi.gif「これはチャンスよ! 演習を大いに盛り上げてくれるわ! 実戦で嵐の中で砲撃戦をする可能性だってあるじゃない! 滅多にないわ!」
mikuru.gif「ええええーーーー、やめときましょうよー。危ないですよー」
haruhi.gif「みくるちゃん、艱難汝を珠にせんって言葉知ってる? ただでさえ我が海軍は条約で制限されてるんだから月月火水木金金の精神で訓練しないといけないのよ」
kyon.gif「やれやれ。珠になる前にしななきゃいいがな」
haruhi.gif「台風に向かって突撃ー!」
ざっぱーん
koizumi.gif「海上が荒れに荒れています!」
mikuru.gif「危険が危ないです~~~~」
yuki.gif「現在気圧は960ミリバール(ヘクトパスカル)、波高20m。瞬間最大風速は34.5m」
mikuru.gif「きゃー。最上に亀裂が発生しています」
kyon.gif「おい、駆逐艦の船首が切断しているぞ!」
yuki.gif「鳳翔、龍驤の飛行甲板に損傷発生」
haruhi.gif「こ、これはまずいわね……なんとかして抜け出るのよ!」
kyon.gif「言わんこっちゃない……」

 

kagami.jpg「えーっと……馬鹿?
konata.jpg「いや、実際にこんな感じだったみたいだよ。しかし、長門のアイコンはこういう時めっちゃ合ってるね
kagami.jpg「いや、そんなのんきなこと言ってる場合じゃないし。しかも太字つかってまで」
「うっわあ……」
miyuki.jpg「劇中でも言っていますが……どんな状況でも訓練を実行しなければいけないという強迫観念のようなものがあったようです」
「結果参加艦艇41隻中約半数の19隻が何らかの損傷を受けるという大被害を受けた。具体的な被害は下に」

駆逐艦 初雪、夕霧:艦橋付近で艦体が切断。初雪で殉職者54名
駆逐艦 睦月、菊月:三日月、朝風が艦橋大破
航空母艦 鳳翔:前部飛行甲板損傷
航空母艦 龍驤:艦橋損傷、飛行甲板全損
重巡洋艦 妙高:船体中央部のリベットが弛緩
軽巡洋艦 最上:艦首外板に皺、亀裂
潜水母艦 大鯨:船体中央水線部及び艦橋前方上方外板に切断寸前の大型の皺が発生。海水の朗詠によって操舵用の電動機が故障
その他駆逐艦多数に損傷

「ひどいね……」
miyuki.jpg「この事件は荒天時の波浪が予想以上に強烈なものだったこと(荒天時の波浪の想定が波長/波高比が1/20だったのに大して当時は1/10だった)に加えて、極端な軽量化による強度不足などが原因でした」
konata.jpg「もちろん、訓練を強行したことが最大の原因だったんだけどね」
「ある意味ここで事件が起こって幸運だったのかもね……」
kagami.jpg「どうして?」
「だってこのまま事件が起こらなかったら問題点がそのままでしょ? 戦争中どうなっていたことかって考えると……」
kagami.jpg「そっか……そういう考えもあるわね」

「友鶴事件、第四艦隊事件の結果ほとんどの海軍艦艇が改修・改装工事を受けた。船によっては装甲や甲板を丸々外して工事したものもある」
kagami.jpg「大工事ね」
konata.jpg「もちろん、前述の友鶴、龍驤も同様だよ」
「復元性能の改善でスペックが著しく変わったのは以下の艦」

(アイコンなし)
空母『龍驤』
基準排水量:8000t→10600t
公試排水量:10150t→12732t
全長:179.9m
全幅:20.32m→20.78m
飛行甲板:156.5m×23m
喫水:5.56m→7.08
出力:65000t
速力:29ノット
航続力:10000浬/14ノット
兵装:12.7cm連装高角砲6基12門、13mm4連装機銃6基24門→12.7cm連装高角砲4基8門、25mm連装機銃2基4門、13mm4連装機銃6基24門
搭載機:常用36機(戦闘機12機、攻撃機24機)+補用12機


『千鳥』型水雷艇
基準排水量:535t→600t
公試排水量:615t→738t
全長:82m
全幅:7.2m→7.2m(ただしバルジを増設)
喫水:2.2m→2.4m
出力:11000馬力
速力:30ノット→28ノット
航続力:3000浬/14ノット→1600浬/14ノット
兵装:12.7cm連装砲1基、同単装砲1基計3門、13mm単装機銃1基、53cm連装魚雷発射管2基4門、爆雷投射機1基、爆雷9発→12cm単装砲3基、13mm単装機銃1基、53cm連装魚雷発射管1基2門、爆雷投射機1基、爆雷9発


『初春』型駆逐艦
基準排水量:1490t→1715t
公試排水量:1680t→2061t
満載排水量:1802t→不明
全長:109.5m
全幅:10.0m
喫水:3.03m→3.49m
出力:42000馬力
速力:36.5ノット→33.3ノット
航続力:4000浬/14ノット
兵装:12.7cm連装砲2基、同単装砲1基計5門、40mm単装機銃2基、次発装填付き61cm3連装魚雷発射管3基9門、爆雷投射機1基、爆雷投下台6基(手動式4、水圧式2基)、爆雷14発→12.7cm連装砲2基、同単装砲1基計5門、40mm単装機銃2基、次発装填付き61cm3連装魚雷発射管2基6門、爆雷投射機1基、爆雷投下軌条1基、爆雷14発

konata.jpg「見たらわかると思うけど①武装の撤去 ②艦幅・喫水の増加 の二つだね。もちろん見えない場所でも船体の強化などを施してるよ」
「最も改装工事の結果、役に立たなくなった艦もある。千鳥型水雷艇は大幅に弱体化した上に近海用としても使いづらくなった」
konata.jpg「まあ、戦力化させないために600t以上を制限してるわけだからね。逆に言えば600t未満じゃ使い物にならないと判断してるわけで当然の帰結だったんだよ」
miyuki.jpg「既存の艦だけではなく、計画中の艦も大幅に計画が変わりました」
「どーゆーこと?」
konata.jpg「空母が元々は航空兵装を施した偵察用の巡洋艦だったって話はしたよね? 当時、空母を補助戦力の巡洋艦としても使えるように、水上攻撃力の高い空母……というより航空巡洋艦が世界的に計画・研究されてたんだよ」
miyuki.jpg「その中で日本で採用されていたのがG8という計画名称の艦でした」
「要目は下の通り」

G8
基準排水量:10050t
公試排水量:18000t
全長:240m
全幅:21.7m
兵装:15.5cm連装砲1基、3連装砲1基計5門、12.7cm連装高角砲10基20門、25mm連装機銃20基40門
出力:150,000hp
速力:36ノット
航続距離:10000浬/18ノット
飛行甲板:194.2m×29m
搭載機:72機(戦闘機24機、攻撃機48機)

konata.jpg「実行寸前まで言ったこの計画は結局はポシャるんだけど、それはこの両事件があったからなんだよね。条約が失効したこととも相まって蒼龍と名付けられた艦はその改良型である飛龍と一緒に純粋な空母として作られることになったんだよ」
kagami.jpg「さすがに三度は同じネタ使わないでよ」
「(言う前に言われちゃった……ショボーン)」
「ちなみに飛龍は条約が失効するのを見越して蒼龍よりも排水量を増加させて性能をアップさせている」


航空母艦『蒼龍』
基準排水量:15900t
公試排水量:18800t
満載排水量:19800t
全長:222m
全幅:7.62m
飛行甲板:216.9×26m
喫水:7.62m
出力:152000馬力
速力:34.5ノット
航続力:7680浬/18ノット
装甲:水線帯45mm、機関部甲板25mm、弾薬庫甲板55mm
兵装:12.7cm連装高角砲6基12門、25mm連装機銃12基24門
搭載機:常用57機(戦闘機12機、攻撃機9機、爆撃機27機、偵察機9機)+補用16機


航空母艦『飛龍』
基準排水量:17300t
公試排水量:19930t
満載排水量:21900t
全長:227.4m
全幅:22.32m
飛行甲板:216.9×27m
喫水:7.84m
出力:153000馬力
速力:34.59ノット
航続力:7670浬/18ノット
装甲:機関部水線帯85mm、弾薬庫水線帯150mm、機関部甲板25mm、弾薬庫甲板55mm
兵装:12.7cm連装高角砲6基12門、25mm3連装機銃7基、同連装機銃5基計31門
搭載機:常用57機(戦闘機12機、攻撃機9機、爆撃機27機、偵察機9機)+補用16機

miyuki.jpg「さて、中型空母として採用された蒼龍、及び飛龍ですが、ここから始まる日本の空母は特にアメリカの空母と比較して大きな特徴があります」
「それは何?」
miyuki.jpg閉鎖型格納庫、というのがそれです。これに対してアメリカのものは開放型格納庫と呼ばれるものでした」
「どう違うの?」
miyuki.jpgこちらに詳しいのですが……簡単に言えば開放型格納庫は柱だけの家で閉鎖型格納庫は壁のついた家といったところでしょうか?」
kagami.jpg「柱だけって……それで大丈夫なの?」
konata.jpg「もちろん柱だけといっても限度があるからね。理屈上は強度は充分だよ」
miyuki.jpg「もちろん双方にメリットデメリットがあります。開放型格納庫の場合、格納庫を広く取ることが出来るので結果的に搭載機(=攻撃力)を多くとることが出来ます。また、ダメージコントロール(間接防御)にも優れます」
「ダメージコントロール?」
miyuki.jpg「略してダメコン、ともいいますね。リンク先の言葉を借りるならば手のひらで爆竹を爆発させたときに手のひらを握った状態で爆発させるのが閉鎖型格納庫、手のひらを開いて爆発させるのが開放型格納庫です」
konata.jpg「つまり、この例で例えるなら、『ダメージを受けないこと』じゃあなくて『ダメージを受けた後』を考えるのがダメコンの考え方なんだよ。今の場合だと、手のひらを開いていた方があとで傷の手当てもしやすいし、傷も浅いってことだね」
kagami.jpg「じゃあ、閉鎖型格納庫の利点は? メリットがないんじゃ採用しないでしょ?」
miyuki.jpg「もちろんです。閉鎖型格納庫の利点はなんといっても悪天候に強いことです。日本海軍が採用した理由がわかるでしょう?」
kagami.jpg「ああ……なるほど」
「両事件がなくても日本近海は台風などの悪天候が発生しやすい地域だしね」
「台風一家ー」
kagami.jpg「本編ネタはいいから」
「他にも搭載機が潮風による錆つきなどの影響を受けにくいという利点もある」
konata.jpg「よく『日本がダメコンに優れる開放型格納庫を採用していたら』という意見があるけどそれは浅はかと言えるね。そもそも環境が違うから単純な比較は出来ないんだよ」
miyuki.jpg「典型的な『隣の花は赤い』ですね」
「実際、レイテ沖海戦後のフィリピン、沖縄戦後の沖縄でアメリカ海軍は大被害を追っている」

昭和19年12月17日
損傷:戦艦4、空母2、軽空母2、護衛空母4、重巡3、軽巡4、駆逐艦以下17
喪失:航空機142

昭和20年6月5日
沈没:駆逐艦3
損傷:軽空母4、護衛空母4、軽巡1、駆逐艦以下12
喪失:航空機146

kagami.jpg「本当に大被害ね……」
konata.jpg「ある意味神風は本当に吹いていたんだよ……戦況には影響を及ぼさなかったけどね」
「アメリカはこの事件を受けて戦後建造するミッドウェイ級以降には閉鎖型格納庫を採用する
miyuki.jpg「一方日本軍は両事件のあと大きな沈没・損傷事件はありませんでした。両事件の教訓が生かされたためといえるでしょう」
konata.jpg「といったところで今日のところはおしまい」
「次回は何やるの?」
konata.jpg「太平洋方面ばっかり見がちだからね。次回は欧州方面での軍艦建造に大きく影響を及ぼした重大事件をやるよ」
「それじゃ、また」

モアイ部さま
しーくれっともーど様
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コメント
無題
飛龍のアイコンに若干不満有り。日本の航空母艦の中で赤城と飛龍のみは左舷中央に艦橋が配置されていた筈では?
【2008/07/22 03:50】 NAME[沖田豊] WEBLINK[] EDIT[]
Re:無題
アイコンの選択をミスっておりました。すいません;
修正いたしました。
【2008/07/22 03:55】


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好きな作家さんは藤子・F・不二雄、前田珠子、新井素子、吉岡平、横山信義、林譲二、橋本純あたり。
好きな音楽は海援隊などのフォーク、中島みゆきなどのニューミュージック。あとはLiaさんや新良エツ子さん、じまんぐさん、Sound Horizon(一期、二期両方)、Suaraなど。
歌じゃないのなら地中海風というかラテン風、イタリア風とテクノっぽいのやカントリー音楽。ピアノ音楽も好き。

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