今日はゲームのレビューをします。
PULLTOPの夏少女というゲームを。
私が初めてやりたいと思ったギャルゲーです。
●あらすじ
今でも思い出す。
あの、抜けるような空の青。
忘れられない三度の夏。
君と積み重ねた、夏の記憶。
ある夏休み、主人公、瀬川真人(せがわ まさと)は、同じ天文部の友人、結城樹一郎(ゆうき じゅいちろう)に誘われ、樹一郎の田舎である上郷町を訪れる。
その町で、真人が出会う3人の少女―――。
喫茶店『こかげ』の元気娘、芹沢明希(せりざわ あき)。
真人の宿泊する老舗旅館『みやこ』の娘で、樹一郎の妹、結城京(ゆうき みやこ)。
クールでどこか謎めいた雰囲気の少女、東絢水(あずま あやみ)。
自然の豊かな田舎町で、楽しい夏休みを過ごした真人は、次の夏もまた来ると約束して、上郷町を去った。
そして、次の夏休み。
上郷町を訪れた真人は、再び出会う。
一年の月日の分だけ、大人へと近づいた少女達に……。
(オフィシャルサイトより引用)
●評価
総評:88点
シナリオ:A+
ライターさんは下原正さん、SHAREDさん、椎原旬さんの三名。
下原さん、椎原さんの代表作は「とらかぷっ!」「PRINCESS WALTZ」など。
SHAREDさんの代表作は「(有)ロンドン☆スター ~恋のダブルクリック~」など。
プレイ時間は20時間程度です。
キャラ :S
攻略可能なヒロインは三名。エッチシーンのない、バッドエンドも含めれば四名です。(バッドエンドヒロインはPS2版ではヒロイン昇格)
以下、キャラ紹介。
・芹沢明希
喫茶店「こかげ」の看板娘。元気で明るく表情が変化に富んでいる。勉強は苦手だが、体を動かすことはとても好き
・結城京
旅館「みやこ」の看板娘。他人に気を使う優しい性格。仕事を手伝うため家事全般が得意。
・東絢水
人見知りが激しい寡黙な少女。騒ぐのが苦手で絵を描くのが好き。
・白山奏芽
主人公の後輩。才色兼備の眼鏡っ娘。ノリが良すぎるのが欠点。
・結城樹一郎
主人公の悪友。変人だが、学校の成績は非常にいい。
・芹沢麻理奈
明希の母親で「こかげ」のウェイトレス。若々しい外見と内面を持つ。
・芹沢大介
明希の父親で「こかげ」のマスター。画面からはみ出すほどの巨体で台詞がないほど無口。料理の腕は超一流。
・結城棲子
京と樹一郎の母親で「みやこ」の女将。物腰は柔らかいがしつけにはきびしい。
・東雪江
絢水の母親で陶芸家。さっぱりした気質だが大酒飲み。
CG:S
原画は藤原々々さん。
それなりに多いです。
少しだけ差分が少ないかな? とも思いますが、要所要所押さえてます。
音楽:A
夏にあったいい感じに元気な曲が多いです。
しかし、音楽が途切れるときが多いですね。
それが効果的なところもあるのですが、効果的じゃないところも多いです。
「今ここにいる君と」「楽しいわるだくみ」「退屈無用!」「夏の残照」あたりが特に好きです。
もちろん、KaeさんのOP「真夏のかけら」、ED「とおりすぎゆく人へ」も素晴らしいです。
システム:A+
ディスクレス起動、既読スキップ、クィックセーブ等必要なものは全てそろっています。
しかし、クイックセーブやスキップ状態を普通の状態に戻すときに、それを行った音が聞こえないので、「あれ? いまクイックセーブしたよね?」みたいな状態になるときがあります。
バックログシステムがロードした直後でもそれ以前を読み込むのがいいですね。
理想度:A
①主人公 ×
②出会い ○
③テーマ ○
④パラレル ○
⑤整合性 ○
⑥ヒロイン ×
⑦脇役 ○
⑧ハッピーエンド ○
●難易度
難易度は特に高くはありません。
ただし、一年目でルートが決まるので、二年目で変えようと思ってもバッドエンドに直行するだけです。
一年目の最後で泊まった家の子のルートに自動的に行きます。
二年目に明希ルートだと麦藁帽子が、京ルートだと楽譜とメトロノームが、絢水ルートだと色鉛筆とスケッチブックが日にちを示す場面で出ます。
●攻略オススメ順
特にありません。ただし、アキちゃんをラストにした方がいいと個人的には思います。
●注意点
ごくごく普通の日常を上手く描いた物語です。
奇跡で泣くこともなければ、人死にで鬱になることもありません。
なので、起伏も少ないので展開の激しい変化にとんだシナリオが好みの人にはまったく合わない作品です。
物足りない、とも思うかもですね。
攻略順番としては、明希をラストにすることをオススメします。
●感想
小さくまとまった非常によい作品です。また、後の「ゆのはな」や「遥かに仰ぎ麗しの」等の土台ともいえるでしょう。
日常で起こることに対するちいさな感情のゆれを非常に上手く書いています。
ごくごく普通の淡い恋愛物語。
さっきも少し言いましたが、奇跡も無ければバトルもなく、鬱も無ければダダ泣きするような展開もありません。
三年という長い時間をかけてゆっくりゆっくりと恋を育む、そんなゲームです。
起伏が少ないその分、雰囲気で補っていますね
サブキャラが非常に素晴らしいですね。
ヒロインのママンズや大介さん、樹一郎。特に後者はゆのはなの拓也に通じるバカっぷりと、京に対するシスコンっぷり、両方素晴らしいです。
主人公はいいやつでヘタレでは無いんですが個性は弱いです。(まあ、ゆのはなやかにしのと比較して、ですが)
エンディングで表れる麦藁帽子をクリックすると『夏少女』というゲームのエピローグがはじまります。
夏の終わりは新たな夏の始まり、とでもいったところでしょうか。
非常にきれいな終わり方です。
「おしまい」と言った感じではなく、「このお話はここでおしまい。物語は次の物語へ」といった終わり方で非常に好みです。
さっきも言いましたがまったりとした成長物語です。
三人のヒロインに特にトラウマなどはなく、あったとしても既に解決済みのものです。
だからでしょうかね。主人公の存在が薄い。無くてもそうなりえる話でした。無個性というわけではないんですが、普通のゲームの主人公の薄さとはまた違います。辛らつに言えば存在感がないとも言えるのかもしれません。
普通の主人公がヒロインと直接反応する物質だとするならば、真人は触媒ですね。無論触媒には触媒なりの楽しさがあるのですが。
それに加えて夏と夏の間のことがあまり語られないことでしょうか。
あとは……PS2版では解決しているんですが、要ルートが無いのが非常に残念かと。
(Promissed Summerやりたいなー)
以下ヒロイン別感想
芹沢明希
『夏少女』というタイトルに最も相応しいキャラ(ルート)ですね。
子供と大人の境というのをもっとも書けていたルートでした。
「あぁ、思春期だなー」って感じです。
結城京
家に対する葛藤ってのはこの子ぐらいの時が丁度いいんでしょうね。
これより上になっちゃうとああもあっさりとした解決はなされなかったと思います。
このルートでは樹一郎が他のルートとちょっと違うのでその辺の好みが別れるかなーと思いました。
私は好きですけどね。
彼のああいうのが無ければ解決も無かったと思いますし。
ラストの澄子さんの流れ星に願うシーンが非常によかったですね。
東絢水
三人の中ではもっとも問題を抱えたヒロインです。といっても、飽くまでこの三人の中で、ですが。
二年目でもどのルートでも一度は彼女のことについて触れますしね。
この多感な時期に学年がひとつ違う、というのはやっぱりショックというかどう接すればいいか分からないでしょうし、そういう意味でリアルだったかなー、と。
三年目になるとほとんど絢水と雪江さんの話になります。
樹一郎と要がほとんどルートに関わってこないのが少し残念ですが……でもこれはこれでいいかもしれません。
内面の不安というのをもっとも上手くかけていたと思います。
残念なのは、彼女のルートでは三年目はサブキャラがほとんど関わってこないところですね。
●最後に
私はこのゲームで初めてギャルゲというものを知りました。
最初がこれでよかったなー、と思います。非常に良作だったので。
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